今年の日本のゴールデンウィークは4月29日(土)から5月5日(金)までで、2020年のパンデミック以降で最も良いものになると予想されているが、ハワイの観光業にとっては、それほど「ゴールデン」になるわけではなく、日本人からのハワイ訪問者数がより大きく回復するのは、夏以降になると予測されているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイ州観光局(HTJ)マネージングディレクターのエリック・タカハタ氏によると、2020年と2021年はパンデミックによる米国と日本間の旅行制限のためにハワイでのゴールデンウィークはほぼないに等しく、2022年の同時期には日本からのパッケージツアーが復活したが、それほど堅調ではなかったという。今年のゴールデンウィークの需要は昨年よりも強くなるものの、航空利用状況はそれほど回復していないという。なお、3月の座席は2019年対比で56%減、4月は52%減、5月は48%減となっている。
「パックリム・マーケティング・グループ」のデジタルマーケティング部長のユウコ・アキバ氏は、日本人旅行者の心境の変化が影響しているとしつつ、価格設定が大きな理由になっていると分析している。今年のゴールデンウィークの運賃は、燃油サーチャージ込みで約1800ドルから3000ドルで、パンデミック以前の約1500ドルと比べると確実に高くなっており、3月中旬の時点で、日本航空、全日空、ハワイアン航空のゴールデンウィークの旅行期間に空席がある状態であり、この連休よりも夏場の回復を期待する声が上がっているという。
ハワイアン航空の広報担当タラ・シモオカ氏は、ゴールデンウィークの搭乗率と運賃は小幅に上昇しているものの、日本からの需要は全体的に弱いままであると述べ、「日本の旅行者が長年親しんできたハワイでの休暇が時間とともに顕在化すると確信しているが、回復が遅い場合は、他の場所にキャパシティを置くという現実的な考え方も必要」とコメントしている。ちなみにハワイアン航空では、今年のゴールデンウィークに合わせ、28日(金)にホノルル〜福岡便の運航を再開する。
州ビジネス経済開発及び観光局(DBEDT)が3月30日(木)に発表した2月の日本からの訪問者数は、わずか2万6650人だった。昨年同月の2181人からは大幅に増加したものの、2019年2月に訪れた12万653人からは77.9%減となった。
HTJのタカハタ氏は、日本からハワイへの訪問者数は、最初の2四半期で2019年の25%から30%程度にとどまる見込みであると述べた。2023年は2019年の50%まで回復する見通しだが、それに達するには下半期にさらに急加速する必要があるとしている。
パックリム社の社長兼CEOのデイブ・アードマン氏は、日本の映画クルーが制作のために適切なビザを取得することや、有名人やタレントをハワイに呼ぶことが難しいといった点も指摘している。パンデミックの3年間に修学旅行が減少したことで、若者は旅行や異文化体験、パスポートの申請をしておらず、また、日本からのビジネス団体旅行(Meeting, Incentive, Convention and Events:MICE)が停滞していることも懸念材料だという。
米国や世界経済の軟化が予想され、旅行者の多様化がより重要になっている今、日本市場の回復がハワイの観光にとってどれほど重要かは明らかであると同氏は述べている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.3)