地元の人々が何世代にもわたって親しんできたパン製造業のラブズ・ベーカリーが、3月31日、170年の歴史に幕を下ろし、顧客と従業員に別れを告げた。ラブズ・ベーカリーは約170年の間、ハワイの住民や企業にパンや焼き菓子を提供してきた。しかし、パンデミックによりホテルやレストランからの購入が大幅に削減され、昨年の売上高は20％以上減少。こういった状況から3月末に操業を終えるという厳しい判断が下された。

31日の閉業日には多くの顧客がカリヒ工場の周囲に車で集まり、クラクションを鳴らしてラブズ・ベーカリーの地元への長年の貢献を称えた。従業員のリッキー・ペラルタさんは「悲しいと同時に幸せだ。多くの人がクラクションを鳴らして感謝の意を伝えてくれたことが嬉しい。ラブズ・ベーカリーをサポートしてくれた皆に感謝している」と語った。工場は既に解体作業に入っているが、集まった顧客は工場内の店でラブズが作った最後のパンを手に入れることができた。

ラブズ・ベーカリーの閉業により、州全体で230人以上の従業員が職を失った。長年の従業員だったフランク・ハンターさんは「仕事を失うのが好きな人はいない。誰もが少し悲しんでいる」と話した。一方で、オレゴン州のベーカリーが「ラブズ」の名を冠してパンや焼き菓子を製造するライセンスを購入したため、ベーカリーは閉業したものの「ラブズ」の名は残る。多くの人が「前と同じ味にはならないだろう」と思っているものの、長年愛されたラブズ・ベーカリーが忘れ去られることはなくなった。