毎年、大腸がんと診断された16万人のうち、約3分の1が死亡している。しかし、大腸内視鏡検査(光ファイバーカメラのついた長い管で大腸に異常な増殖がないか調べる検査)を通じてがんを早期に発見し治療すれば、これらの死亡を防ぐことができると言われている。
ハワイ・ニュース・ナウの報道によると、このほどオアフ島の3カ所のクリニックでは、初めて大腸内視鏡検査に人工知能(AI)を導入することになったという。「コヴナント・フィジシャン・パートナーズ」の最高医療責任者であり消化器内科の専門家であるユセフ・ア・ラヒム医師は、AIが医療業界に革命を起こし、医師がよりスムーズに働けるようになると語る。
ア・ラヒム医師によると、内視鏡検査でモニターを凝視する際、人間の目で異常を発見するためには長い訓練時間が必要だという。「GIジーニアスという、米国で唯一、食品医薬品局(FDA)に認可されたAIデバイスを使用する。人間の目は疲労すれば精度が落ち、見落とす可能性もあるが、コンピューターにはその心配がない」
AIを用いた大腸内視鏡検査では、AIが医師の第二の目として機能する。あらゆる形、大きさ、形態のポリープの画像1300万枚のデータベースがあり、医師が見ているライブ映像をこのデータベースとリアルタイムで照合。異常が検出されると、画像の該当部分に緑のボックスで印を付けることで医師に知らせる仕組みとなっている。
「メドトロニック」社AI部門のアンドリュー・ナマニー氏は、「AI搭載のものとそうでないもの、両方の大腸内視鏡検査を行ったところ、前者では見逃し率が半分になった」と説明し、AIの採用によって大腸がん検出の水準が引き上げられていると語っている。
なお、45歳以上であれば、たとえ症状がなくても、大腸がん検診を受けることが推奨されている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.31)