グリーンランドでは先週末にサマータイムに移行したが、住民が時計の設定を変えるのはこれが最後になるとAP通信が伝えている。
世界の多くの国ではサマータイム(デイライト・セービング・タイム)制度が導入されている。春夏の日照時間が長い時期に、時間設定を1時間進ませることで、人々の活動時間に太陽が出ている日中を長くすることが目的だ。日照時間が短くなる秋には、時間設定を1時間遅くすることで対応する。
ヨーロッパやアメリカでサマータイム制度を続けるかどうか議論される中、北極圏にある広大なデンマークの半独立領土であるグリーンランドは、今年でサマータイム制度の廃止が決定。今後は秋になっても時計の設定を変えることはない。
ランスティング(Inatsisartut)と呼ばれるグリーンランド議会は、昨年11月にサマータイムを通年で維持することを決議した。これにより、グリーンランド国民は午後にもう1時間日中の時間を確保でき、ヨーロッパ諸国や遠く離れた国々とのビジネスにも時間を割くことができるようになると、政府関係者は述べている。
グリーンランド政府観光局(Visit Greenland)は声明で、「タイムゾーンの移行は、わくわくする新しいスタートであり、北米やヨーロッパと等しくつながり、速いペースで進む世界の中でゆっくりする機会を与える」と述べている。
グリーンランドは、地理的には北アメリカ大陸に属しているが、地政的にはヨーロッパに属する。デンマーク領に属し、最南端はデンマークの首都コペンハーゲンから西に3200キロメートル以上離れている。人口は5万6000人と少なく、主に西海岸の小さな町や集落、人里離れた海岸に先住民族のイヌイットが暮らしている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.28)