この30年間で初めて、アメリカに新しい人気犬種が誕生したとAP通信が伝えている。
アメリカン・ケンネル・クラブ(AKC)は15日(水)、昨年全米で最も人気のあった犬種はフレンチブルドッグだと発表した。ラブラドール・レトリーバーが首位から外れるのは31年ぶりだという。
AKCの人気ランキングは、全米で最も古い犬籍を持つ約200の犬種を対象に、年間で新規に登録された犬の犬種を調べたもの。昨年登録された71万6500匹のうち、約10万8000匹がフレンチブルドッグで、全体の7匹に1匹にあたり、ラブラドール・レトリーバーよりも2万1000匹多かった。
フレンチブルドッグは、コミカルな表情の人懐っこい小型犬で、グルーミングや運動量も控えめなため、街中でも扱いやすい犬種として知られている。4半世紀前には75位以内に入る犬種ではなかったが、その人気は急上昇し、愛犬家や批評家を悩ませることが起こっている。
フレンチブルドッグの需要が増えたことで、盗難の標的になっており、先月サウスカロライナ州で76歳のブリーダーが射殺されたり、2021年に歌手のレディー・ガガの愛犬を散歩させていた人が銃撃されるなど、さまざまな事件も起きている。
需要の高まりに加え、珍しい毛の色や質にプレミアム料金を支払う人もいるため、悪質なブリーダーのもとで不健康な犬が生まれることが懸念されている。この犬種の人気は、呼吸や脊髄、目、皮膚に異常のある犬を繁殖させることが健全かどうかという議論を浮上させている。
英国獣医師会は、フレンチブルドッグをはじめとする平たい顔の犬種を購入しないよう呼びかけている。またオランダでは、鼻の低い犬の繁殖を禁止しており、同国の農林水産大臣は所有の禁止を目指している。
最近発表されたイギリスの約2万4600匹の犬を対象とした調査では、フレンチブルドッグの健康状態は他の犬種とはまったく異なり、大部分はずっと悪いことが示唆されており、その理由はこの犬種の特徴である平たい顔のためだとしている。
アメリカ動物愛護協会(Humane Society of the United States)に所属する獣医師会のローナ・グランデ博士は、「これらの犬種の特徴の多くは、必ずしも健康や福祉ではなく、見た目のための繁殖によるものであり、フレンチはおそらくその最も誇張した例の一つだ」と述べている。
AKCは、純血種を飼うことを考えている人に対し、ブリーダーの経歴や健康状態を調べ、子犬を待つことを受け入れ、その責任を負う覚悟があるかどうかを自問する必要があると呼びかけている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.17)