ハワイの人種に関する複雑な関係を反映した事件の判決が下された。2日(木)、連邦判事はハワイ先住民の男性2人に対し、被害者が白人でなければ暴行を加えることはなかったとして、ヘイトクライムの罪で懲役刑を言い渡したとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
2014年、カウラナ・アロ・カオノヒとレヴィ・アキ・ジュニアの両被告人は、クリストファー・クンゼルマン氏を殴り、蹴り、シャベルで殴打し、脳震盪や2本の肋骨骨折、頭部外傷を負わせた。
ハワイの弁護士によると、アメリカでハワイ先住民がヘイトクライムで訴追されたのは今回が初めてだという。
J・マイケル・シーブライト連邦地裁判事は、この事件のユニークさを示唆し、アフリカ系アメリカ人の教会に行って銃撃したり、特定の民族や性的指向の人々がいるナイトクラブを狙うといった他のヘイトクライムと異なると述べている。判事は、アロ・カオノヒ被告に懲役6年半、アキ被告に懲役4年2カ月を言い渡した。
事件は、高級リゾート地として知られるマウイ島の小さな村、カハクロアにある老朽化した海沿いの家をめぐって発生した。クンゼルマン氏はこの家を購入し、妻のロリさんとともにアリゾナ州から移住する予定だったが、地元のハワイ先住民の2人とトラブルになった。
「最初から明らかにヘイトクライムだった。彼らはずっと『肌の色が違う、ハオリはこの近所には絶対に住めない』と言っていた」とロリさんは語る。
「ハオリ」とは外国人、白人などの意味を持つハワイ語で、今回の事件をヘイトクライムとみなす重要なポイントのひとつだ。ハワイ出身でイースタン・ワシントン大学のローラー教授によると、この言葉はハワイの方言であるハワイピジンとなり、地元の文化にそぐわない行動や態度を表す言葉になっていると解説している。
米司法省の公民権部門のクリストファー・ペラス氏によると、2人は襲撃を記録したクンゼルマン氏の携帯電話を奪って海に投げ捨てたという。また、検察によると、暴行の後、アキ被告は警察にクンゼルマン氏のことを「金持ちのハオリ」「馬鹿なハオリ」「何でも自分のものだと思っている典型的なハオリで、カハクロアの状況を変えようとしている」と言ったとのこと。
同被告人は裁判官に宛てた手紙の中で、「私がほぼ白人とのハーフだからというだけでなく、私が愛し、大切に思っている人たちに白人がいる」とし、自分が人種差別主義者だとは思っていないと記しており、法廷では、自分の未熟で攻撃的な言動を恥じていると語った。アロ・カオノヒ被告もクンゼルマン氏に法廷で謝罪した。
2人とも、この暴行事件で州裁判所に起訴された。アロ・カオノヒ被告は重罪の暴行を認め、執行猶予を言い渡され、アキ被告はテロ脅迫を認め、執行猶予と約200日の禁固刑を言い渡された。
なお、クンゼルマン氏は現在もカハクロアの家を所有しているが、居住はせず、アリゾナ州とプエルトリコに滞在している。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.3)