現在、ハワイのほとんどの場所でマスクの着用義務が解除されているが、主な病院や医療現場ではマスク着用義務が継続されていると、ホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
州や連邦のルールなどでマスク着用が義務付けられることはなくなったが、多くの医療現場が独自にマスクの着用義務を設けている。
ハワイヘルスケア協会の代表兼CEOヒルトン・レーセル氏は、「ハワイの医療責任者を集めた前回の話し合いで、少なくとも臨床分野の病院では、圧倒的に、すべてのスタッフ、患者、請負業者にマスク着用が必要であることがわかった」とコメント。マスク着用はいまだ適切であり、政府による義務化と関係なく、地域社会のスタンダードとして合意されているという。
一方、クイーンズ・ヘルス・システムでは、感染状況が落ち着いてきたため、いくつかの条件を緩和している。同施設では、患者フロア、待合室、手続きスペースなど、すべての患者ケアエリアでは引き続きマスク着用が義務付けられているものの、屋外や患者ケアを行わない建物でのマスク着用義務は解除された。また、建物入り口にあった体温計が撤去されているほか、以前は一度に1人しか許可されていなかった患者への面会が一度に2人まで可能になり、1日に最大4人まで面会できるようになった。
ハワイのカイザーパーマネンテでは、医療スタッフや患者、面会者など2歳以上の全ての施設入場者は常時マスク着用が義務付けられている。また、ハレ・マクア・ヘルス・サービスのCEOウェスリー・ローさんによると、ほとんどの高齢者向けケアホームでも、入居者を保護するためにマスクの着用が義務付けられているという。
州保健局は、米疾病管理予防センターとともに、重症化リスクの高い人が屋内の公共スペースにいる際、および医療施設にいるすべての人に、マスクの着用を引き続き推奨すると述べている。
マスクをめぐる議論は、最近発表されたコクラン・レビュー(Cochrane review)をきっかけに激化した。コクラン・レビューは、世界中の研究をメタ分析し、科学的根拠を明らかにする取り組みだ。今回、マスクが呼吸器疾患の予防にどの程度有効かの調査において、報告書では「フェイスマスクの効果には不確実性がある」と結論づけ、ランダム化比較試験のプール結果は、医療用または外科用マスクの使用による「呼吸器ウイルス感染の明確な減少を示さなかった」とした。
しかし、同報告書の著者らは、試験における高いバイアスリスク(偏向/先入観などによる誤差)、比較的低いアドヒアランス(被験者の従順性)、その他の要因が、「確固たる結論を引き出す妨げになる」とも結論付けている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.2)