今年1月のハワイ訪問者数は2019年のほぼ97%まで回復し、海外からの到着人数もパンデミック以降で月間最高レベルを記録した。一方、これから米国は不況に入ると言われており、アメリカ本土からの旅行者減少が予想される中、日本からの旅行者の回復が間に合うかどうかが鍵になりそうだとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイ州ビジネス経済開発及び観光局(DBEDT)が2月28日(火)に発表したデータによると、1月にハワイを訪れた旅行者は79万1781人で、パンデミック前の基準年である2019年1月から3.2%の減少となった。また2022年1月と比較すると、到着者数は37.9%も増加している。
今年1月のハワイ訪問者は、2022年や2019年の同月よりも多くの支出をしているのも特徴で、今年1月の訪問者による消費額は18億9000万ドルに達し、2022年1月から35.5%、2019年1月から17.2%の増加となった。
これらのデータは、昨年秋からホリデーシーズンにかけて続いていた軟調な状態から、ハワイの旅行業界が予想していたよりも良い結果となった。パンデミック以降、旅行市場に変化が起きており、中でも旅行の予約を90日以内に行う米国人旅行者が増加したことにより、今後の傾向を予測することが難しくなっているという。
ハワイのホテルでは、パンデミック前の同時期と比べるとまだ予約ペースは落ちているものの、特にアメリカ西部からの予約が増加しており、旅行の25~45日前に予約を取る人が多いという。
アメリカ本土からの旅行需要の増加は、パンデミックの初期に現れた傾向だ。今年1月の好調なデータもアメリカ本土からの訪問者によるもので、1月の米国人到着人数は59万6637人に達し、2022年から16.9%、2019年から18.6%増加した。
ハワイ・ホテル・アライアンスのジェリー・ギブソン社長は、ハワイの旅行業界の多くが3月のデータを待ち望み、2019年とそれ以前のように堅調に夏を迎えることができるかどうかの指標になるだろうと見ており、「3月は大きな月で、それ次第で今年の残りがどのようなものになるかの目安がつき始めるだろう」と語っている。
ハワイの経済において、今年前半は、回復が遅れている日本人旅行者の穴を埋めるためにアメリカ本土からの旅行需要を十分に維持し、今年後半は、米国経済が悪化しアメリカ本土からの旅行者が減るのを相殺するに足る日本人旅行者を確保するという、絶妙なバランスに依存している。
DBEDTディレクターのクリス・J・サダヤス氏は声明の中で、「2023年は、到着人数が97%近く回復し、ハワイの観光産業は良いスタートを切ることができた。2023年1月の航空便による海外からの訪問者は全体の23%を占め、パンデミック開始以来最高となった。2023年1月の日本およびカナダからの到着人数は34カ月ぶりに2位となった。同月はクルーズ船での到着人数も同様だ」と述べている。
海外からの訪問者数は前年比で大幅な改善を示したものの、DBEDTのデータでは、日本、カナダ、その他すべての海外市場からの到着は、2019年1月に比べて2桁減少している。
昨年春に日本旅行業協会の代表団がハワイを訪れた際、日本人旅行者の回復は2022年のゴールデンウィークから始まり、年末にはパンデミック前の2019年の40%の水準に戻ると予測していたが、実際には、日本からの到着人数は2019年から87.3%減で2022年を終えた。今年1月に日本からハワイを訪れた人は3万2305人にとどまり、2019年1月と比較すると73.2%減だが、2022年1月と比較すると1033.6%増加である。
島によっても結果はさまざまだ。日本からの旅行者に最も依存するオアフ島は、パンデミック前の89%まで回復したが、この数字は州全体の1月の結果を引き下げている。マウイ島は98%まで回復し、ハワイ島とカウアイ島は2019年1月と比較して1月の訪問者数はわずかに増加しているからだ。
日本からの訪問者が大幅に減少しているオアフ島では、訪問者の構成の変化が新たな勝ち組と負け組を生み出している。オアフ島では、日本人旅行者を対象とした多くのビジネスが依然として苦戦を強いられている。
ハワイ旅行の卸売りを行うプレザント・ホリデイズは、日本人旅行者はオアフ島のホテル利用率が高いため、ホテルの部屋数が増えるという恩恵を受けているという。同社のジャック・リチャーズ社長兼CEOは、「日本人旅行者が戻ってこないという事実は、実はハワイでのビジネスにとって好材料だ。ここ3年以上、最高の第1四半期を迎えている」とコメント。価格が緩やかになり始めたことで、3~6月のハワイ旅行の予約が増えているそうだ。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.3.1)