【ハワイニュース】ハワイの旅行者サポート団体VASH、経済的困難に直面 支援件数急増
ハワイを訪れている旅行者が事件や事故、健康被害などで危機的状況に陥った際にサポートを行う団体「ビジター・アロハ・ソサエティ・オブ・ハワイ(VASH)」は、今年で設立20年目を迎えるが、これまで以上に経済が困窮する中、同団体が支援する件数もさらに増えているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
VASHの社長兼CEOのジェシカ・ラニ・リッチ氏によると、2023年にVASHが扱った件数は543件、訪問者数は1416人であり、2024年に入って早々、事件数はさらに増えているという。同氏は、「VASHは2024年の幕開けとして、1月に392人の訪問者のサポートを行った。これは、月平均120人から150人の2倍以上にあたる」と語った。
事件は、ワイキキでの銃事件や立てこもり事件から、旅行者に対する犯罪、水難事故、その他の事故、行方不明者事件、死亡を含む健康関連の出来事まで多岐にわたる。
VASHの資金の大半はハワイ州観光局(Hawai‘i Tourism Authority:HTA)に依存しており、リッチ氏は次回の会合でHTAの理事会に対し、安全やセキュリティへの投資、特に緊急事態への備えについて話し合うよう要請している。2023年度予算の28万5000ドルは、2022年度予算より約22%低く、インフレに追いついていない。この2023年度の予算額は、2018年の23万6126ドルに相当する価値しかない。なお。2018年の予算は35万6000ドルだった。
VASHは、1月30日にアストン・ワイキキ・サンセットで起きた容疑者立てこもり事件にて、250人以上の宿泊者の避難をサポートした。昨年8月にラハイナで山火事が起きた際には、旅行者をマウイ島からオアフ島に移送し、ハワイ・コンベンション・センターでの避難の補助にあたった。
「何かが起こるかもしれないのではなく、いつ起こるかだ」とリッチ氏は言い、緊急事態への準備が必要だが、オアフ島を管理する非営利団体にとって、特に訪問者数が増加しているにもかかわらず予算が非常に足りないことに危機感を抱いている。
VASHが支援を行った近年の主な事件は下記のとおり。
2024年
- アストン・ワイキキ・サンセット・ホテルで、男が部屋に立てこもり、ホテルスタッフを脅しているとの通報を受け、ホノルル警察が駆けつけ、250人以上が避難した。
2023年
- メリーランド州の旅行者がラニカイのピルボックス・トレイルをハイキング中、高さ40フィートから落下し、救急搬送されたが亡くなった。
- ハネムーン中のカリフォルニアの旅行者夫婦の夫がエレクトリックビーチで溺死。レンタカーと所持品が盗まれた。
- ハイキング中に行方不明となったカリフォルニア州の旅行者は、コオラウ・サミット・トレイルで高さ1000フィートから転落し、一命を取り留めた。
- ユタ州の旅行者がシュノーケリング中に行方不明になった。沿岸警備隊が数日間捜索したが発見に至らなかった。
シェアする
(日刊サン 2024.2.28)