マウイ島のマアラエア湾沖でザトウクジラの子どもがボートに衝突したと見られる事故が発生したことを受け、連邦政府当局はハワイ海域での警戒を呼びかけているとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
ニュースリリースによると、23日(金)に様々な船舶運航者から子クジラ負傷の報告があり、ハワイ諸島ザトウクジラ国立海洋サンクチュアリ(Hawaiian Islands Humpback Whale National Marine Sanctuary)と太平洋クジラ財団(Pacific Whale Foundation)の研究者が評価を行なった。その結果、泳ぐ能力に限界のある子クジラは、ボートの衝突による鈍的外傷を負っている可能性が高いと結論づけられた。
サンクチュアリの自然資源スペシャリストであるエド・ライマン氏は、「画像を見ると、行動的にはかなり弱っている。薄い色の皮膚、病変、尾柄部の背隆起に潜在的な傷である切り欠きがある」と述べた。子クジラの傷が100%ボートとの衝突によるものだとは言い切れないが、多くの指標がそのように示しているという。
この事故は、ハワイに多くのザトウクジラが訪れる季節には、海にいるすべての人は注意を怠らず、ゆっくりと行動することが欠かせないことを教えている。クジラの近くでは、通過速度は15ノット以下であるべきだと、データは強く示唆している。
「Go Slow, Whales Below(ゆっくり進もう、クジラが下に)」キャンペーンは、衝突を防ぐため、クジラからの距離が400ヤード以内に近づいたりするときは、スピードを15ノット以下にするようボートに呼びかけている。
太平洋クジラ財団のチーフ・サイエンティストであるジェンス・カリー氏は、「これは、私たちがザトウクジラと環境や水域を共有していることを再認識させる良い機会だ。海に出るときはいつでも、クジラに気を配り、下にいるクジラにも気を配るべきだ」と語った。船の大きさやスピードがクジラの生死を左右することもあり、過去にボートに衝突された傷跡を背負って生きてきた個体も数多くいるという。
ハワイ海域のホエール・シーズンは、通常11月から5月までだが、1月から3月にかけてピークを迎える。何千頭ものクジラが、交尾、出産、子クジラの哺育のために、毎年アラスカからハワイの暖かい海へと移動する。
現在マウイ海域には多くの母子クジラがいるが、これまでに少なくとも5件のクジラの衝突が報告されているという。先週の子クジラを含む何頭かは、プロペラの傷跡など目に見える傷を負っている。
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(日刊サン 2024.2.27)