ハワイでは、より多くの児童が幼稚園(Preschool)に通うことができるようにしようという機運が高まっているが、公立の幼稚園を設立した場合に必要とされる総数465の教室で働く先生を、いかに確保するかが大きな壁となっているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイでは幼稚園の教員不足がすでに大きな問題となっており、また、公立幼稚園が増えた場合、私立の幼稚園が授業料を値上げすることなく、いかにして教員を確保するのかということも大きな課題となっている。
現在、州内の大手私立幼稚園は、受け入れ可能人数の65%というレベルで運営されており、多くの「待機児童」がいるにもかかわらず、教室は空き部屋となっている。
なぜなら、現行の給与と待遇では働き手が見つからないからだ。
23日(木)、クヒオ小学校に14人の教育関係者と地域住民の代表らが集まり、現状について話し合った。
ハロルド・K ・L・キャッスル財団のCEOであるテリー・ジョージ氏は、「幼稚園で先生をするよりABCストアで働く方が収入が多いという状況は、もう終わりにしなくてはならない」と述べている。
先生の不足は深刻で、幼児教育業界全体の給与の改善が急務であると、メイジー・ヒロノ上院議員が主催した会議でも主要テーマとして取り上げられた。
シルビア・ルーク副州知事は、州内の全児童に幼稚園教育の機会を与えようと「レディー・ケイキ(就学準備の子供たち)」計画を進めている。
この計画は、私立と公立幼稚園の「混合提供」システムによって、2032年までに3歳児と4歳児に初期幼児教育を受ける機会を与えることを目的としている。
州内の3歳児と4歳児3万5,272人のおよそ半数が、すでにプリキンダーガーデン(就学前に通う幼稚園のようなもの)に通っているが、そのほとんどは私立の施設だ。
ハワイにおける幼稚園教員(短大卒)の年間平均賃金は、3万8,140ドルから5万5,960ドルで、高卒の保育従事者の場合は、2万5,720ドルから2万9,710ドルとなっている。
一方で、州が公立幼稚園の教員(大卒)を採用する場合、州教職員労働組合の労働契約が適応されることになるが、例えば公立小学校教員で見てみると、年間平均賃金は7万922ドルとなっている。
オアフ島で5つの幼稚園を運営しているシーガル・スクールでは、教員の給与は時給19ドルからとなっており、年間では4万ドル弱になる。
しかし、パンデミックの影響とその後の物価高騰で入園者数が減少し、幼稚園の経営にも影響が出ているという。
シーガル・スクールのCEO、メーガン・マッコリストン氏は、「教員の給与を上げる必要があるが、その費用を補う術がない。授業料の値上げは、園児の家庭に打撃となるのはわかっているが、他に方法がない」と述べている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.24)