ハワイでは、無免許運転による事故が増加しており、州内の交通死亡事故のおよそ5件に1件は無免許ドライバーが関係しているという。
一方では、逮捕および起訴の数があまりに多く、裁判が滞っていることから、国選弁護人らは被告に対する減刑を嘆願しているとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
単に無免許というだけで、より危険な運転をするとは限らないが、失効無免許者の多くは、無謀な運転が原因で免許を失っており、その後も無免許で運転を続けていれば悲惨な結果を招くことは大いに考えられる。
先週、登校途中のサラ・ヤラさん(16)が、赤信号を無視して交差点に突っ込んできたトラックにひかれ死亡するというひき逃げ事件が起こったが、翌日にシ出頭してきたミッチェル・ミヤシロ容疑者は無免許だった。
しかも、同容疑者は過去に160件の交通違反をしており、2018年から12回も無免許運転で逮捕されている。
サラさんの母親はこの事実を知り、「このような人がまだ運転をしているなんて信じられない。なぜ刑務所に入っていないのか驚きです」と述べている。
昨年8月には、オアフ島ノースショアで、無免許の男が運転する車が対向車に正面からぶつかり、対向車に乗っていたロン・ハートマン氏と妻のミシェルさんが死亡するという事故が起こっている。
州運輸局の統計によると、交通死亡事故で無免許運転者が関連しているのは2019年には13.7%だったが、2020年には19.3%、2021年には25.2%と上昇している。
ホノルル警察では、昨年1年間に無免許運転で8,117件の違反切符を発行し、386件の逮捕を行なっている。
一方で、国選弁護人らは、法定代理人の同席と複数の聴聞会が大きな負担となっていると述べ、滞っている裁判を進めるためには司法取り引きによって懲役刑をなくすべきだと主張している。
ミヤシロ容疑者も、これまで7回の無免許運転を2回に減刑するなどの司法取り引きに応じており、懲役刑を受けたことはない。
クリス・リー上院議員は、違反を繰り返すドライバーに対してより厳しい罰を与えることを提案したが、検察は、警官に負担がかかると反対している。
とはいえ、今回のひき逃げ死亡事故をきっかけに世論が動いているのも事実だ。
州運輸局のエド・スニッフェン氏は、罰金を高くすることの検討を提案しつつも、徴収が問題となることを認めている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.23)