マウイ島の海洋保護区内でサンゴ礁の上に座礁して動けなくなっているヨットからディーゼル燃料が流出し始めたとKHON2が伝えている。
ハワイ州国土自然資源局(DLNR)によると、座礁したヨットを安全に除去するためにはまだ数日かかるとみられているが、住民からは早急な対応を求める声が上がっているという。
マウイ島のホノルア・ベイの海洋保護区で20日早朝に全長94フィート(およそ29メートル)の高級ヨットがサンゴ礁の上に座礁するという事故が起こった。
所有者であるジム・ジョーンズ氏によると、午前5時30分ごろラハイナ港に戻ろうとしたときにエンジンが動かなくなったという。
乗船していた8人は安全に岸にたどり着いたが、おりからの高潮でヨットはサンゴ礁の上に座礁してしまった。
サンゴ礁の上で動けなくなっているヨットの除去作業に取り掛かっていたが、21日(火)朝には船からディーゼル燃料が海に流出しているのが発見された。
ヨットの所有者の知人がヨットに乗り込み、全てのポンプを止めたために流出は止まったものの、すでに周囲には燃料の臭いが充満している状況だった。
燃料の流出によりヨットの管理は連邦政府の沿岸警備隊の手に委ねられ、燃料やその他の有害物質がヨットから撤去されることになる。
撤去が完了したところでヨットは所有者であるジョーンズ氏に返却され、そこからヨットを除去する作業が開始されることになる。
DLNRによると、すでに30以上のサンゴ礁が破壊されており、ヨットの除去が完了するまでにはさらなるサンゴ礁が打撃を受けるとみられている。
ジョーンズ氏はすでにヨットの除去を担当する民間会社を雇っているという。今後は、できるだけ海洋環境を破壊しないように作業を進めるため、会社と州当局、そしてマウイ島関係者が連携していくことになっている。
全ての作業にかかる費用はヨットの所有者の責任となる。
また、DLNRは海底のサンゴ礁に対する被害を調査する予定で、被害の全容が解明されてから被害に応じた罰金と調査にかかった費用の返却がヨットの所有者に求められることになっているが、費用はかなり大きなものとなると予想される。
また、ヨットの座礁の原因についても調査が行われる予定だ。
一方、マウイ島の住民からは怒りの声が上がっている。
「ホノルアを救う会(Save Honolua Coalition)」の代表で、マウイ島住民のタマラ・パルティン氏は「ヨットの所有者には責任を取ってもらいたいと思います。そして、こんなことが2度と起こらないようにするために何をするべきか知りたいです。燃料の流出は恐れていた最悪の事態です」と述べている。
「できるだけ早くヨットを除去する必要があります。今週末には波のうねりが予想されています。うねりでヨットが大きく揺れ続ければ、サンゴ礁はさらに壊され、そしてボートの破片が湾内に散らばることになります。座礁した場所は人気のサーフィンスポットの近くなのです」
DLNRでは書面で次のように発表している。
「ホノルアでヨットが座礁してサンゴ礁に大きな被害が出ていることに対して、住民の皆さんが大きな懸念を抱いていることは承知しています。22日(水)から我々は燃料を取り除く作業に集中し、少しでも早く除去作業が行い、さらなる被害を食い止めたいと思っています」
シェアする
写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.22)