ジョッシュ・グリーン知事が成人(21歳以上)の大麻使用合法化への賛成を表明したとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
一方で、グリーン氏が任命した州司法長官は、これを含む2つの法案に反対しており、州内の薬用大麻業界を監督している衛生局長は、賛否を表明していないものの、娯楽用大麻使用の合法化によって引き起こされる健康被害について「非常に憂慮している」と述べているという。
16日(木)の州上院議会で、これらの法案の審議が進められることが決まった。
知事のアドバイザーを務めるブレーク・オシロ氏は、インタビューで次のように語っている。
「知事は、成人の大麻使用への賛成を表明していますが、公衆安全と消費者を保護した上での大麻法制化を望んでいる。また、娯楽用大麻が合法化されることで、医療用大麻業界に影響が及ぶことのないようにしたいと考えている。知事が任命した局長らが異を唱えているのは複雑な問題だが、知事は各部署に自由な意見を述べるよう推奨しており、その懸念を払拭する方法についても提案を求めている。法案が議会を通過した際は、おそらく知事は法制化を認め、署名するだろう」
知事の政策に対して局長が反対意見を述べることは極めて異例で、大麻の合法化を支持する人々にも驚きを持って受け止められた。
グリーン氏が知事に選出されたことで、ハワイでは娯楽用大麻使用の合法化に対する期待が高まっていた。
過去20年間で、アメリカ国内のおよそ20州以上で同様の合法化が行われている。
娯楽用大麻使用支持団体の代表を務めるニコス・レベレンズ氏は、「知事が任命した司法長官が反対しているのは大きな問題だ。知事は選挙中には賛成していたのに、今になって違うことを言っているようなものだ」とコメントしている。
この法案を提出したクリス・リー上院議員は、「局長らが反対を表明したことに心配はしていない。知事がこの法案を法制化するはずだ」と述べている。
州司法長官のアン・ロペス氏は、娯楽用大麻の合法化に反対し、資格を持たない大麻販売を取り締まることがどれほど大きく、かつ困難な課題となるかを供述しており、合法化により地域社会にどのような影響が及ぶのか、また、未成年者をいかに保護するのかなどについて、さらなる検討の必要があると述べている。
衛生局のケネス・フィンク局長は、反対賛成の表明はしていないものの、大麻についての啓蒙活動の強化や、未成年者に対するアピールを軽減するために色やイラストなどをパッケージに使用しないなどの法案内容についてはよくできているとした上で、大麻使用による健康被害への懸念を表した。
法案では、21歳以上に対して使用を認めるとしているが、衛生局は、人間の脳は20代半ばまで成長を続けるため、依存物質の影響を受けやすくなると述べており、「娯楽用大麻の使用が合法化されたら、若年成人をその悪影響から保護することは非常に困難となる」と議会に書面を提出している。
また、大麻を毎日のように使用すると、総合失調症などの精神病性障害を発症する可能性が高いと証明されており、子供および若年成人の自殺願望を増加させる可能性があるとも発表されているという。
さらに、妊娠女性が大麻を使用することによって新生児が低体重で出生したり、発達障害などが現れる可能性についても懸念があるとしている。
ホノルル・スター・アドバタイザー紙が昨年行った世論調査では、選挙権を持つ成人の58%が税収増のためになると合法化に賛成しており、34%が反対、8%がよくわからないと回答している。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.17)