チップを得る従業員に少なくともハワイの最低賃金を支払うかどうかをめぐり、従業員と雇用主の間で意見が分かれている。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報道によると、レストランがチップを受け取る従業員に支払う賃金を州の最低賃金より低くすることを認める、いわゆる「チップクレジット(チップ控除)」を廃止する内容を盛り込んだ上院法案2784は、先週2度延期された後、12日(月)の上院労働技術委員会の公聴会でようやく先送りされた。
ハワイの最低賃金は現在時給14ドルで、飲食業のサーバー職(ウェイター/ウェイトレス)は、チップを考慮すると、最も高い収入を得ている。上院法案2784は、チップを受け取る職であっても最低賃金を適用することで、「サービス産業の従業員の経済的安定を強化する」ことにつながるとしている。
上院労働技術委員会の委員長を務めるヘンリー・アキノ上院議員は、この法案がレストランや裏方スタッフの雇用に影響を与えるかどうか、またメニュー価格の値上げにつながる可能性のある影響についても議論を続ける必要があるとし、「チップを得る従業員や給与水準の低い従業員を支援するため、税額控除や、将来的に段階的に控除を廃止することも含め、本法案以外の継続的な議論を通じて、他の方法を見つけたい」と述べた。
カカアコにあるレストラン「ハイウェイ・イン」の最高財務責任者ラッセル・ライアン氏は、「チップクレジットは労働法の中で最も誤解されている概念に違いない」と、この法案に反対意見を述べた。同氏によると、チップクレジットは裏方スタッフの支援にもつながっており、この控除がなければ裏方スタッフの年収はサーバーより4万ドル低くなるという。「チップクレジットは、一部の人々が信じているような、経営者が低賃金労働者の賃金をピンハネするための仕組みではなく、単にレストラン経営者が、チップを受けるスタッフとそれがないスタッフの間の大幅な賃金格差を均等にするための手段だ」
また、チップクレジットがなくなることでサーバーへの給与支出が増えることになり、多くのレストランではメニューの値上げを迫られることから、この法案が経営難につながる脅威となるという指摘も挙がっている。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2024.2.15)