ホノルル・リカー・コミッション(酒類販売許可や取締りを担当する市の行政機関)では酒類販売許可・取締に関して大きな規則変更を検討している。
変更案のひとつは、取締官が「適切でない行為」が店内で行われていると認定した場合には、取締官はその店舗を24時間閉鎖することができるというものだ。
また、別の変更案では、リカー・コミッションの長が酒類を提供している店舗に対する匿名の苦情に対して行動することができるとしている。
これらの変更案に対して反対する人々がいるとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
ジョセフ・ルナ氏は「この規則の『適切でない』という言葉の定義が曖昧なため、マイノリティーの人々に対する脅しのようにもなります。政府機関の人間や、偏見を持った人が、この曖昧な言い回しの影に隠れて、マイノリティーの人々を周辺地域から追い出すために、匿名で密告するようなことにもなりかねません」と反対している。
ルナ氏はダウンタウンにあるゲイ・ナイトクラブ「スカーレット・ホノルル」の共同経営者で、市の酒類取締官と州の商務消費者局から不公平にターゲットとされていると主張しており、この問題ですでに差別に関する連邦訴訟を起こしている。
現在検討されている規則変更には、「相応しくない、適切でない(not fit and proper)行為」に対して取締官はバーを24時間閉鎖することができるとしているが、この言い回しに対して、ビジネス専門の弁護士であるキース・キウチ氏は「何が相応しく、適正なのかということをリカー・コミッションは独自に決めることはできると思いますが、私はこの規則変更は適正だとは思いません」とコメントしている。
ワイキキでゲイ・コミュニティーを対象とする2店舗を経営しているジョン・ブラット氏も「取締官が基本的にその日の気分で24時間閉鎖させることができたら、その店舗や常連客、そして店の評判が傷ついて、計り知れないほどのダメージとなります」と反対している。
反対している人々は、「相応しくない、適切でない(not fit and proper)行為」という定義が明確でないことが問題だとしている。
マイケル・グリーン弁護士は「周辺地域住民の誰かが匿名で『相応しくない行為を見た』と電話してきたり、取締官が店舗に入ってきて『適切でない行動を見た』と言ったとして、どうやって定義できるのでしょうか?」と述べている。
ブラット氏は「このような法律はゲイバーやその客に対する非常にひどい嫌がらせ(ハラスメント)として使用されてきました」という。
複数の弁護士がリカー・コミッションに対して、この規則は曖昧すぎて、取締官に必要以上の力を与えることになると懸念を表明している。
グリーン弁護士は「非常に曖昧な理由で、生活の糧となっている商売をダメにする可能性がある規則は、理屈が通らないし、違法でもあります」とリカー・コミッションに伝えたという。
コミッションのメンバーはこれから規則変更についての検討と投票をする前に人々からの書面による意見に目を通すことになっている。
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写真:Adam Calaitzis / Shutterstock.com
(日刊サン 2022.2.11)