アメリカ全土で深刻な献血不足の状態が続いている中、ハワイ州議会は献血不足解消の手段として、献血者に所得税の控除を検討しているとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
下院法案1556では、1年間に4回以上献血した住民に税制上の優遇措置を与えるという。
もし控除額が納税者の納税額を超えた場合には、超過分を受け取ることができる。
また、別の下院法案1557では、事業所が献血運動を開催すると控除が与えられることになっている。
先週金曜日の時点では法案1556はまだ議会で検討されている。
先月、アメリカ赤十字とアメリカ血液生物療法協会は現在の血液不足を「全国的な血液危機」と宣言しており、一部の人々はこの優遇措置で献血者数が増加するのではないかと期待している。
ハワイ血液バンクのCEOであるキム・アン・グエン氏は「アメリカ国内血液供給の状態に対して「全国的な血液危機」という言葉が用いられるのは初めてのことです。ハワイでは本土ほど長期間にわたり深刻な状態ではありませんが、新型コロナウィルス感染が拡大してから血液は非常に不足している状態であることに変わりはありません」と述べている。
パンデミックが始まってから、高校や大学、大きな事業所や教会などで通常行われきた献血運動が完全になくなってしまった。
このような献血運動はハワイにおける血液供給の33%を占めている。
特に手術の予定をホリデーシーズンの後にする患者が多くいることで1月は非常に血液不足が深刻だったという。
「もし次に大きな事故が起こったら輸血する血液がないというほど深刻な状況でした」
献血を定期的にしている小児科研修医のジェニー・リウさんは「医療現場にいると、患者が輸血を必要としている状況は珍しいことではありません。なので献血に貢献できることは非常に良いことだと思っています。地域社会への貢献になるし、オンラインで予約するのは簡単です」と述べている。
一方で、献血に対して税制上の優遇措置を与えるという考え方について賛成する人ばかりではない。
ヘイリー・バーネットさんは「地域社会へ貢献し献血して命を救うことにメリットがないと行われないということは非常に残念なことです。しかし、税制上の優遇措置でもっとたくさんの人が献血するというのであれば仕方のないことなのかもしれません」と述べている。
ハワイ血液バンクによると、献血人数は2019年26,483人、2020年22,496人、2021年21,260人と、ずっと減少している。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.2.7)