1月27日にカウアイ島沖で見つかったマッコウクジラの死骸は、翌日に高潮に乗って海岸に打ち上げられた。
体長56フィート(約17メートル)、体重12万ポンド(約54.5トン)のクジラの死因を調査したハワイ大学のクリスティ・ウェスト氏によると、胃の中から多くの異物が見つかり、それらによって餌が消化管へ流れるのが阻害された可能性が高いという。
ホノルル・スター・アドバタイザーの報じるところによると、ハワイ州土地自然資源局は、「胃の内部には未消化の魚やイカがあり、消化が阻害された証拠となる」と発表した。
胃の中からは、ウナギ漁用罠が6個、7種類の漁網、2種類のビニール袋、照明保護器材、釣り糸、浮きなどが見つかったという。
クジラの胃は非常に大きく、研究チームは完全に調査を終えていないが、まだ他にも異物が発見されるのではとみられている。
その他の臓器に関しては異常は確認されていないが、さらに詳しい検査が行われることになっている。
マッコウクジラは、世界中の深海で見られる絶滅危惧種で、昨年の調査では、ハワイ諸島周辺に4,500頭ほどが生息していると推定されている。
広い海域で活動しているために、これらの海洋ゴミがどこからのものなのか判別するのは困難だが、専門家によると、世界中で毎年3,500万トン以上のプラスチックゴミが出され、その約4分の1が海に行き着くという。
海洋ゴミは、多くの動物に大きな害を及ぼしている。
海鳥は体重の8%ほどのプラスチックを食べてしまうことがあり、絶滅危惧種のハワイアンモンクアザラシやアオウミガメが漁網にかかって命を落とすこともある。
マイクロプラスチックを摂取した小魚を捕食するサメなどの健康に問題が出る可能性もある。
また、漁具やロープに絡まり、結果として衰弱死するクジラもいる。
1月31日(火)には、ハワイ島沖でロープや漁網、ブイなどが絡みついたザトウクジラが発見され、救命隊によって解放作業が行われている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.2.3)