ウォータービーズは、パッケージの「Non Toxic(無毒)」という表示から、多くの親が安全で化学物質を使っていないと信じていた人気のおもちゃだったが、実際には有害な化学物質が含まれており、中毒を起こした子どもは数え切れないほどいることがわかったとGray Newsが伝えている。
ウォータービーズは、水に触れると100倍に膨張する性質があり、体内に入ると命に関わる危険性があることから、昨年秋に一部商品に関してリコールが発表された。ところが、同じ危険性を持つ類似商品は現在でも市場に出回っているという。
テキサス州に住むアシュリーさんは、2017年、長女のアビゲイルちゃんの6歳の誕生日プレゼントとしてウォータービーズを買い与えた。彼女はアマゾンで商品について調べたが、「無毒だと書いてあった。有害な化学物質は微塵も含まれていなかった。生分解性があり、再利用可能で、環境に優しいと書いてあった」という。
アシュリーさんは、アビゲイルちゃんがビーズで遊べる安全な環境を、1歳の次女キプリーちゃんから離れて、父親のジョナサンさんの監視の下で整えた。
それから約1カ月後、キプリーちゃんの顔に発疹ができた。かかりつけの小児科医は、皮膚病か石鹸アレルギーのせいだと診断した。それから1カ月後の2017年7月、キプリーちゃんはひどく体調を崩した。両親は娘を病院に連れて行き、医師が緊急手術を行ったところ、腸内にビーズが見つかった。アビゲイルちゃんがビーズで遊んでいる間に、ビーズが滑り落ちたようだった。
しかし、これはキプリーちゃんの医療問題の始まりにすぎなかった。手術でビーズを取り除いた直後から、キプリーちゃんの発達は後退し始めた。アシュリーさんによると、娘は最終的に、ウォータービーズに含まれる化学物質にさらされたことによる脳障害、中毒性脳症と診断されたという。
昨年、米国消費者製品安全委員会(CPSC)がウォータービーズを検査したところ、「懸念すべきレベルのアクリルアミド」が検出された。米国国立がん研究所は、アクリルアミドはヒト発がん性物質であると「合理的に予想される」としている。
おもちゃをはじめとする子ども向け製品が市場に出回る前に、CPSCが安全基準を満たしているかどうか、鉛や有害な化学物質が含まれているかどうかを検査したり、マーケティングやパッケージの謳い文句を検査したりすることはない。つまり、パッケージの商品説明に「無毒」と書いてあったとしても、根拠があるとは限らないのだ。
アシュリーさんは、現在、非営利団体「あのウォータービーズの女性(That Water Bead Lady)」を立ち上げ、おもちゃに潜む危険性を他の親たちに警告する啓蒙活動を行っている。
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画像:photo-ac.com
(日刊サン 2024.2.1)