コロナで裁判ができない
ハワイ州司法長官であるマーク・レクテンウォルド氏が1月27日州議会で行った報告によると、オアフ島で起こった殺人事件の起訴と裁判が進んでいないことが判明したとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
「新型コロナウィルスの感染拡大のために、陪審員裁判を以前のように行うことができない状況で、特にオアフ島では裁判所の部屋が小さく、社会的距離をとることが困難だ。しかも予算が限られているために大きな部屋を借りることもできない」とレクテンウォルド氏が述べている。
現在オアフ島では、2,200件の犯罪の陪審員裁判が止まっている状態で、隣島では数百件の裁判が同様の状態だという。
一方で、新型コロナウィルス対策として施行された条例を違反した軽犯罪だけでも6万件がオアフ島地方裁判所に申請されているが、一昨年は全体でたった2万件しか軽犯罪の裁判申請がなかったことからみても、その数字の大きさがわかる。
「実際には、コロナ対策条例違反に加えて、これから賃料未払いによる退去命令が始まり、コロナ禍の家庭内暴力や性犯罪の増加など、裁判の需要がこれからもっと増加していくと思われる」
その対策として、今まではズームなど遠隔による審問などは行われていなかったが、昨年8月からハワイ州全体で128,000件が行われている。
また、一般に公開される裁判の見学もビデオ視聴で行われるようになった。
また、インターネットへのアクセスがない人々が裁判に参加してもらうために、フリーWi-Fiなどオンラインアクセスに対するガイドを作成し、最高裁判所図書館内には遠隔での喚問を行う場所が設置されている。
とはいえ、陪審員による犯罪裁判では被告人は証人と対峙する権利があり、今まで止まっている犯罪裁判の再開は急務だという。
しかし州財政が逼迫してあらゆる方面での予算削減が行われている中で、司法の場でも予算が削られており、難しい司法運営を迫られている。
(日刊サン 2021.1.28)
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