「CATsタグ」と呼ばれる特殊な機器を吸盤でクジラに取り付けることで、ゴンドウクジラやオキゴンドウが海面下で何をしているかを研究できる新技術が開発され、海洋哺乳類の研究者たちから注目を集めているとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
CATsとは、Customized Animal Tracking Solutions(カスタマイズ動物追跡ソリューション)の頭文字をとったもので、CATsタグの中にはセンサーや追跡装置、カメラが入っており、クジラの目線でクジラが見ているものをとらえることができる。タグは非侵襲的なツールで、吸盤に空気が入るとクジラから分離する仕組みとなっている。
太平洋クジラ財団(Pacific Whale Foundation)の主任科学者であるジェンス・カリー氏は、「ボートから動物を観察するだけでは得られない、実にユニークな視点だ。クジラが頭を向けると、カメラも向く。クジラが獲物を捕らえたとき、それがどのように行われているかを正確に見ることができる」と語った。
タグは水面に浮くため、回収し、研究者は貴重なデータとビデオをダウンロードすることができる。
ハワイ海洋生物学研究所にて海洋哺乳類研究プログラムのディレクターを務めるラース・バイダー氏は、「これらのタグにはハイドロフォン(水中マイク)が付いている。そのため、獲物を捕食している時などの音響信号を拾うことができる。そして想像してみてほしい、真っ暗闇の中で、これらの動物が実際の生活の中で観察しているものを見ることができることを」と語った。
この技術はザトウクジラに使われてきたが、しかし現在、太平洋クジラ財団とハワイ大学海洋哺乳類研究プログラムは、より小型で高速のクジラにこのタグを使用している。
CATsタグから得られる情報と画像をもとに、研究者たちはそのクジラが1日の活動を通じて行ったフルーク・ストロークの正確な回数、潜水回数、潜水深度を特定することができる。また、クジラが1日に消費するエネルギー量と、餌として摂取する量とを比較することも可能だ。
こうした情報は、絶滅危惧種に指定されているオキゴンドウにとって特に重要だ。
バイダー氏は、「クジラがどのように獲物を捕らえたり扱うのかがわかればわかるほど、漁業業界と協力し、釣り針や釣り糸などに関する提案ができる。そのほうが業界にとっても、海洋動物の保護活動全体にとってもいいことだ」と語った。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2024.1.24)