海軍の水道システムから供給されている水道水が汚染され、地域に住む軍人家庭だけでなく周囲の一般家庭にも多大な影響をあたえているが、この問題に対して海軍を相手に集団訴訟を起こそうという動きがあるとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
エリサペタ・アライマレアタさんはサモア系アメリカ人の非営利団体のリーダーでハルシー・テラスにある軍住宅に住んでいるが、石油燃料に汚染されて悪臭のある水道水を利用したために髪が抜け落ち、湿疹やめまいに悩まされているという。
陸軍の退役軍人である夫も出血をし、飼っていた犬も一時は瀕死となった。
「どれだけ長い間汚染水に晒されてきたとのかと考えるだけで恐ろしくなります」
海軍側は水道水が汚染されていたのは短期間で、昨年の5月と11月に発生した2度の燃料流出が原因だと主張している。
アライマレアタさんは、元ハワイ州司法長官で現在弁護士をしているマージェリー・ブロンスター氏と共に集団訴訟に踏み切ろうとしているおよそ20人の申立人のひとりだ。
ブロンスター弁護士は「海軍には責任があり、私たちは海軍に賠償請求をする必要があると考えます」と述べている。
グループは1月19日(水曜日)に医療専門家と本土の弁護士事務所を含めて記者会見を行った。
その会見で救急医療医師で医療機関のCEOであるラリー・マキヴォイ医師は「石油燃料が含まれている水を飲むと、必ずしも体内で均一に分散するわけではありません。体内の一部に濃縮する傾向があり、脳や神経組織に濃縮することを懸念しています」と述べている。
最近行われた国会の公聴会で、海軍はレッド・ヒル燃料貯蔵タンクを空にするようにというハワイ州の緊急命令に従うと述べているが、一方で海軍に対して命令する法的権利がハワイ州にあると認めることを拒否している。
ブロンスター弁護士は「海軍がハワイ州の命令に従わないかもしれないということが、私たちが集団訴訟に踏み切ろうとしている要因の一つです。現在軍に所属している軍人は軍に対して訴訟を起こすことはできませんが、その家族は可能です」と述べている。
海軍は今回の集団訴訟でどれだけの金額がかかるか不明としているが、汚染水の処理問題に今までかかった費用は2億5,000万ドル(およそ280億円)と言われている。
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写真: Shutterstock.com
(日刊サン 2022.1.20)