海で遺棄された漁網が浮いているのを見つけて引き上げると報酬を得るというプログラムについてホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
ハワイ・パシフィック大学(HPU)が新たに始めたもので、漁師が漁の際などに海中に漂っている漁網を引き上げると相応の金額が支払われるという。
対象となるのは、ゴーストネットと呼ばれる、流されたり捨てられたりした漁網や海岸に打ち上げられている放置漁具などだ。
こういった廃漁具は、海中の生物にとって非常に大きな脅威となる。
HPUの海洋ゴミ・リサーチ・センターのマネージャーであるラケル・コーニック氏は、「定期的に海に出ていて、廃漁具に日常的に遭遇する機会のある漁業者に対価を支払うことで、その取り除きに積極的に協力してもらえる」と述べている。
2020年から2021年にかけて試験的に行われたプロジェクトはうまくいき、漁業関係者からも好評だったという。
コーニック氏は、漁業者にも、また環境にとっても有益な、ウィン・ウィンのプロジェクトだとし、「漂流する廃漁具は、ボートやプロペラに絡まることもあり、漁業者にとっても迷惑な存在だ。我々としては、廃漁具がサンゴ礁に流れ着いて被害が出る前、海上に漂流している間に取り除いてもらえればと考えている」と述べた。
また、海洋ゴミを回収するためにボートを出すより、すでに海で漁をしている人々の協力を得る方が、温室効果ガス(CO2)の排出削減にもつながるという。
このプログラムでは、ハワイ州土地および自然資源局の水産資源課とハワイ遠洋漁業協会の協力のもと、今後2年間で100トンの漁具の回収を目標としている。
参加する漁業者は事前登録が必要で、回収してきた漁具1ポンド(約450グラム)につき1〜3ドルが支払われることになっている。
絡んだ漁網や、糸、浮遊物などは1ドル、漁業用の追跡デバイス(ブイ)は3ドルとなる。
ハワイ遠洋漁業協会は次のようにコメントしている。
「当協会所属の漁業者は、10年以上前から海洋ゴミの回収に努めており、2010年からは回収したゴミの処理にも力を入れている。海中に遺棄された漁具は、安全性の面でも非常に大きな問題となっている。また、漁網が船に絡まると、時間のロス、ひいては経済的な打撃となる。今回のプロジェクトに参加し、海からゴミをなくすという目的のために貢献することをとても喜ばしく思っている」
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.1.16)