【世界のこぼれ話】eBay社員、生きたクモやゴキブリを送りつける マサチューセッツ州
11日(木)に提出された法廷書類によると、オンライン小売業者の「イーベイ」社(eBay Inc.)は、同社従業員がマサチューセッツ州の夫婦の自宅に生きたクモやゴキブリなどを送りつけた嫌がらせ行為に関する刑事告発を解決するため、300万ドル(約4億3500万円:145円/ドル換算)の罰金を支払うことになったとAP通信が伝えている。
司法省は、デイビッドとイナ・スタイナー夫妻を脅迫する大規模な計画で従業員が起訴されてから3年以上が経過し、ストーカー行為、証人改ざん、司法妨害の罪でイーベイ社を起訴した。夫妻は「EcommerceBytes」というオンライン・ニュースレターを作成し、その報道内容で同社幹部を動揺させた。
マサチューセッツ州の連邦検事局によると、カリフォルニア州に本社を置くイーベイ社は、従業員の行為に対する責任を認め、一定の条件を満たせば同社に対する起訴が却下される可能性のある起訴猶予契約を結んだ。
マサチューセッツ州のジョシュ・レヴィ連邦検事代理はEメールにて声明を発表し、「イーベイ社は、非常に恐ろしい犯罪行為に手を染めた。この行為に関与した同社従業員と請負業者は、被害者の通報を黙殺し、イーベイというブランドを守ることを目的とした組織的な黙殺行動で、被害者を純粋な地獄に陥れた」と述べた。
起訴猶予合意では、同社が条件と連邦法を遵守していることを確認するため、独立した監視が3年間同社をチェックすることになっている。300万ドルの刑事罰は、罪状に基づく罰金の最多額だ。
シュタイナー夫妻は、過敏性腸症候群の患者支援団体や米国共産党などのグループから、嫌がらせや時には脅迫めいたツイッター・メッセージ、奇妙なEメールを何十通も受け取った。生きたクモの箱やゴキブリの他に、夫妻の家には葬儀用の花輪、血まみれの豚のマスク、配偶者を亡くして生き延びるための本が届いた。自宅の住所もネット上に公開され、見知らぬ人たちを庭先でのセールやパーティーに招待する案内が掲載された。
裁判記録によると、イナ・シュタイナー氏が2019年に、イーベイ社がアマゾン社に対し販売者を不当に侵害していると非難して起こした訴訟についての記事を書いた後に、嫌がらせが始まったという。最終的に同社の7人の元従業員が罪を認め、幹部のうち1人は2022年に約5年の禁固刑、もう1人は2年の実刑判決を言い渡された。また、当時CEOだったデビン・ウェニグ氏も事件への関与を匂わせるEメールが残されているものの、2019年に退任しており、刑事責任を問われることはなかった。
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画像:Shutterstock.com
(日刊サン 2024.1.12)