アメリカのトランプ大統領は大統領執務室から国民向けのテレビ演説をし、アメリカ国内での新型コロナウイルスの感染の拡大を抑えるためヨーロッパからの入国を停止することを明らかにした。
ハワイでも13日から、ヨーロッパ2カ国からの入国が禁止される。
トランプ大統領は「これは金融危機ではない」と付け加えた上で、経済的な影響を抑えるために中小企業向けの新たな金融支援策などを導入したい考えも明らかにした。
メッセージの中で「現代史において外国のウイルスに対抗する最も攻撃的かつ包括的な取り組みだ」と述べ、米政府は中国からの渡航制限を行うなど初期段階から適切に対処してきたと強調した。
そして「中国やEUは渡航制限を失敗した。アメリカはそれを踏まえ、ヨーロッパからの入国を30日間にわたって停止する」と述べ、感染が拡大しているヨーロッパからの入国を13日から停止し、水際対策を強化する考えを表明した。ただしイギリスは含まないとした。
この措置が始まるのは、アメリカ東部時間の13日午後11時59分、日本時間の14日の午後0時59分以降で、対象となる26か国は、アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、それに、ルクセンブルク。
また、記録的な株価の乱高下が続く金融市場が動揺していることに触れ、「これは金融危機ではない。われわれが国家として、そして世界として共に乗り越えなければならない瞬間にすぎない」と主張した。
その上で新型コロナウイルスで影響を受けた中小企業向けに低利の融資を提供するため、500億ドル(日本円で5兆2000億円)規模の新たな支援策を導入したい考えを明らかした。
アメリカでは感染の拡大に歯止めがかからず、首都ワシントンや全米各地の州で次々と非常事態宣言が出され、国民の間で急速に不安が広がっている。
大統領執務室からの演説は、新型コロナウイルスに適切に対応しているという姿勢のアピールとともに、11月の大統領選挙への影響を懸念したものとみられる。
(文 奥山夏実)
(日刊サン 2020.3.11)