お話を伺った国勢調査委員会ロサンゼルス地区ディレクターのジュリー・ラムさん(右)と日本語担当のシャーレン・トゥルークス・ナカシマさん(左)
2020年は10年に一度のアメリカ国勢調査が行われる。これは、国勢調査局が保持する全米全世帯の住所リストをもとに、4月1日時点でのアメリカ合衆国に居住する成人から乳幼児、子どもを含む全員を正確に数えるのが目的だ。対象者はアメリカ市民権保持者、永住権保持者のみならず、ビザによる一時居住者も含む。4月1日時点で全世帯に生活・滞在している人の情報をすべて書き込むことが求められる。逆に言えば大学、軍隊、刑務所など、離れて生活している家族は記入する必要がない。一方で、住所不定の人が滞在している場合は記入が必要。短期の旅行者は含まれない。
Q.そもそもなぜ調査が必要?
A.連邦予算の配分、下院議員の議席決定に利用
国勢調査はアメリカ合衆国憲法において10年ごとに1度の実施が定められている国民の義務。毎年、連邦政府はこの国勢調査データを参考に、6千750億ドル以上の連邦予算、助成金などからの交付金を、州及びコミュニティに割り当てている。新しい道路、病院、学校などの建設場所は、国勢調査データを利用して考察。企業は国勢調査のデータを使用して人口分布などを見ながらスーパーマーケット、新興住宅地やそのほかの施設の建設場所を特定する。 また、米国下院における州別の議席数は、この国勢調査データに基づいて決定されている。このように国勢調査によって連邦政府はハワイの人口を正確に知る。現状を知ることで、連邦予算が決まり、ハワイの未来が決まるわけである。
Q.いつからはじまるの?
A.回答は3月12日からOK
回答方法はオンライン、電話、郵送の3つから選べる。3月に入るとオンラインでの回答を勧める案内、もしくは地域によっては紙の調査票が全世帯に届けられ、3月12日からオンライン回答が可能となる。インターネットやスマートフォンの普及率がいまほどではなかった10年前は、回答は電話が主だったとのことだが、今回はスマートフォンやPCの普及率も上がっているため、オンライン回答が主でないかと予想している。どの回答方法をとったとしても、所要時間は数分で済む。 2020census.gov/ja
Q.どんなことを聞かれるの?
A.世帯主、世帯員に対する基本的な質問
調査内容はとってもシンプル。世帯人員数 電話番号、氏名など。
【世帯事項】 ①世帯人総数②一時滞在者の有無③住所所有の有無(持ち家か賃貸か)④電話番号
【世帯員事項】 ①氏名②世帯主の続柄③性別④年齢⑤生年月日⑥ヒスパニックか否か⑦調査場所住所以外に滞在する場所の有無
Q.国勢調査に便乗した詐欺があると聞きました
A.国勢調査でSSNや銀行情報を聞くことは絶対にない
国勢調査局の調査員が直接訪問するのは、オンライン、電話、郵送で回答していない世帯のみ。回答済みの世帯には聞き漏れたなどといって訪れることがない。また、訪問時、国勢調査員は次のことを行うことが義務付けられている。
●アメリカ合衆国商務省の透かしがついた有効期限内の写真付きIDバッジの提示
●必要に応じ、監督者の連絡先情報または地域事務局電話番号もしくはその両方を、確認のために提供
●米国国勢調査局のレターヘッドに書かれた国勢調査局長からの通知を提供する
●国勢調査員は国勢調査局のロゴの付いたノートパソコンまたはバッグもしくはその両方を携行している
また、お話を聞いた国勢調査委員会のシャーレンさんによると以下のことは絶対に答えないようにしてほしいと念を押す。
「ソーシャルセキュリティナンバー、銀行口座、政党や政治に関する内容は一切聞くことがありません。調査員は宣誓をして調査員としての任務を請けています。生涯その情報を漏らすことがないことを誓い、活動しています。もし選挙のために国勢調査にご協力ください」といった内容の電話がかかっても絶対に答えないでください。もし、おかしいな、と思ったら国勢調査局に連絡ください」
■日本語サイト 2020census/gov/ja
■電話番号 1-844-460-2020
調査の日程
3月12日~3月20日 国勢調査ならびにオンライン参加の案内を郵送
3月16日~3月24日 リマインダーレターを郵送
3月26日~4月3日 リマインダーポストカードを郵送
4月8日~4月16日 リマインダーレターや紙による回答書を郵送
4月20日~4月27日 最後のリマインダーポストカードを郵送
※国勢調査に応じなかった世帯には現場調査員が訪れる
12月31日 大統領に調査結果を報告
2021年4月1日 調査結果の運用開始
★国勢調査の情報は以下でも入手可能
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(取材・文 鶴丸貴敏)
(日刊サン 2020.1.30)