ウイスコンシンで独り言 マスクをする人、しない人
先週、我々のアパートに二人の工事人がやって来ました。一人は電気工事、もう一人は空調設備の点検の人でした。
電気工事人は「マスクはしないよ」と来る前からはっきり言ったのです。断ることもできましたが、我々のコンドを熟知する人なので、来てもらいました。彼が天井の照明器具の取り付けをする間、「コロナ感染は流感のようなもの」「マスコミは数字を上げて、大げさに扱ってる」と、今のコロナ感染を軽視するようなことを言っていました。
翌日来た空調設備の点検の人はきちんとマスクをしてやってきました。帰り際に「マスクしてくれて、ありがとう」と言うと、ご本人が「二年前に心臓の手術して、自分のためにマスクをしてる」と言ってました。
ここウイスコンシンではマスクをする、しないで健康問題というより、政治問題化しているように思えます。州知事命令で我々は外出時にはマスクの着用を義務付けられていますが、それを真っ向から反対する人や抵抗する人達がいます。
新聞報道などによると、主に民主党支持者がマスク着用に好意的で、共和党支持者にマスク着用を嫌う傾向があるようです。ウイスコンシンの自分の住む町は10万程の中都市で、町中では結構マスク着用が守られていますが、町から外れると全くマスクを着用してないのが普通です。マスクをつけない人の主張は政府が個人のことに口出しすべきでないと考えいる一方で、自分を守り、人をも守るためマスクをつけましょうという主張もあります。
困ったことは、このマスクの着用のことで、感情的、政治的になっていることです。マスクを着用しない人はそれは個人の自由で政府が口出すことではないと考える人達がいて、これはちょうど銃規制の議論にも似ています。銃を持つ持たないということで感情的になり、意見が真っ二つに別れるのです。
連日テレビや新聞報道で州内の深刻なコロナ感染者数の増加が報道されても、「大げさすぎる」「高齢者が影響うけるだけ」と軽視する人達がいます。先日こちらの高校のドイツ語の先生がコロナ感染で亡くなりました。原因は推測の域を出ませんが、死亡する二週間前に母親の葬式があって、多くの人が集まったためではと言われています。他でも9月に入り学校が始まり、若者のコロナ感染が急増し、自宅でのコンピュータによる視覚教育に切り換えられた地区もあります。
マスク着用に関して、アメリカでも州によっていろいろ、その州内でも地域によってこのコロナ感染への意識はいろいろのようです。人はどうあれ、私自身はお店や施設内へ入る際はマスクを着用しています。それは他の人への「思いやり」である、と感じています。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.86
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。