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とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言 誕生日

誕生日

 「明日はお誕生日ですね!おめでとうございます!!」と先日、定期健診に行って、生年月日を言った時、受付の人からと看護婦さんからと二度も笑顔で言われました。もしこれが日本だったら、受付でごく事務的に「それでは椅子におかけになって、お待ちください」と無表情で言われたでしょうに、アメリカ人って誕生日に敏感って思います。レストランでも誰かの誕生日を、他の客まで一緒になって祝っているのを見るし、コンサートなんかで演奏者が聴衆に向かって、「今日誕生日の人はいますか?」などと誰かの誕生日を一緒に祝ったりします。自分のかっての職場でも、同僚の誕生日会を何度かしたことがあります。

 

誕生日はひっそりと

 この世の中には自分の誕生日を祝ってもらいたがる人もいますが、そうでない人もいますね。自分も取り立てて、自分の誕生日を祝ってもらいたいと思いわないし、自分だけが知っていればいいと子供の時から感じていました。これはとても日本的な考えなんでしょうか? それとも、自分の育った環境からくるんでしょうか? そんなことを考えていたら、日本では誕生日を祝ってもらったことがないし、自分の家族の誕生日も祝ったことも、誕生日すら漠然としか知りません。過去において20代とか30代とかの大台に乗った時でもあまり自覚もなく、気持ちだけは実際の年齢より若いつもりで生きてきました。

 

いよいよ古稀に

 でもさすがに60歳になった時は別でした。職場の同僚が還暦の祝いをしてくれたし、周りに自分より年長の人がだんだんいなくなり、自分の年齢を嫌でも感じるようになりました。父親は62歳で亡くなってたので、その年齢にも近づき、日本からの年金も受給するようになり、いやでも「年寄」を実感しました。

 そして、あれから十年の月日が過ぎ、今度は70歳と古稀と呼ばれる年になりました。長いこと自分の誕生日など自分が知っていればいいくらいでしたが、この70の大台に乗る年齢は以前から意識していました。人には言ってはいませんが、自分ではこの一年ほどずっと、何か意味のある日にしたいと思ってきましたが、甥の結婚式が重なったり、このコロナ禍もあってうやむやになってしまいました。

 

古稀での思い

 自分はあまり「年だ、年だ」と言ったり、自分の年齢を意識しすぎて、年寄くさく振舞わない方がいいと思う反面、残されたこの人生を今までのように漠然と考えるのではなく、こうして生きている今を大切にして、与えられた人生と考えて、感謝しつつ生きて行きたいと思っています。もうこの年齢に達したら、健康も当たり前って思わないで、この年までたどり着けなかった人達や、この世の中の不幸な人達のことも考えて生きて行きたいです。

 そんな意味でもただ単に自分の誕生日と考えないで、自分の恵まれた環境に感謝し、社会との関わりを意識しながら生きて行こうと考えています。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.102

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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