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とどけMahalo! アメリカ本土便り

ウイスコンシンで独り言 オーストラリアのコロナ感染

ウイスコンシンで独り言 オーストラリアのコロナ感染

 今月11日のアメリカ公共放送(PBS)の夜のニュースでオーストラリアでのコロナ感染者数が少ないことを報道していました。オーストラリアは約2,500万人という少ない人口と地理的に他の地域と離れていて有利な点を考慮しても常時コロナ感染者数が千人を上回ることはなく、今ではほぼ平常通りの生活で、レストランでマスクなしで楽しそうに談笑する様子が報道されていました。アメリカや日本やインドなんかのことを考えるとうらやましいような光景です。一体オーストラリアでは他の国々と何が違っていたのでしょうか?

 

科学優先

 まずオーストラリアでは昨年3月にコロナ感染が深刻であることがわかると、国の二大政党がいつもは地球温暖化や移民法や原住民への融和策などで揉めているにもかかわらず、このコロナ対策では政党が事態の深刻さを認識し、政争を一時停止させて、コロナ対策で政治より科学を優先させることにしました。そして専門家の指示に従い、科学的に判断して、疫病対策、感染対策を即時実施したことが大きかったようです。そして迅速に国の出入国を制限し、違反者には厳しい罰を課したようです。

 

国民の支持

 この番組ではベトナム移民で手広くレストラン経営をする人にインタービューしていましたが、このレストラン経営にも厳しい営業時間などで制限を加えられ、3軒のうち2軒を閉鎖させられる憂き目にあいました。それでも、この経営者は国が危機の際には仕方がない、かえって中途半端に制限して、感染が長引く方が結局国の経済にも我々の生活にも損失が大きいと事業縮小に愚痴るのではなく、協力的な姿勢を見せていました。

 オーストラリア人というのは一般に政府に不満を持ち、国の指示に従わない国民性があるのに、今回のコロナ感染ではマスク着用などで揉めることはほとんどなく協力的だったようです。

原住民(アボリジニ―)などの協力

 アメリカでは特に感染がひどいのは貧困者や黒人や原住民の人達ですが、オーストラリアではいち早く原住民の団体を含むいろいろな団体での感染防止のための活動が活発だったことあげられていました。この番組でアボリジニー活動家が献身的かつ精力的に活躍する様子を紹介していました。

 このオーストラリアの報道を聞いて、改めて日本は大丈夫か? アメリカとかブラジルとかインドなどではこのコロナ感染を軽視したのではないかなどと思いました。もちろんオーストラリアですべての人が賛成しているわけでもないし、急に帰国できなくなったり、用事があっても国外へ行くのをためらう人も多いようで、多くの人の不便を強いてはいるのです。それでも、この番組で平和そうに戸外で飲食を楽しむオーストラリア人を見て僕はうらやましく思いました。ご興味のある方はこの関連記事をお読みください。

とどけMahalo! アメリカ本土便り No.102

大井貞二(おおいさだじ)

1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。

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