ウイスコンシンで独り言 イースターのチョコレート
今頃イースター(4月12日)の話とは、いささか賞味期間切れですが……、僕らが住むウイスコンシンの町でチョコレート屋を営むお店が連日、イースターで売れ残ったチョコレート販売のメールを送って来ます。妻は「もう古いよ」と買う気なし。でもこのお店からメールが来る度に「また来てるよ。それも75%引きだよ」と言うと、根負けしたのか、大きな袋詰めになったチョコレートを買うことに。
福袋のように袋詰めされたものは20ドル(元の売値80ドル)、30ドル(120ドル)、50ドル(200ドル)の3種類。自分達は中間を取って30ドルの袋を注文しました。そしていざお店に行って、駐車場で手渡されたチョコレートの袋はずっしりと重く、どうやらやけくそで余分にチョコレートが追加されているようでした。
家に帰り袋からチョコレートを取り出してみると、いろんなウサギや卵をかたどったチョコレートがわんさと出てきました。とても自分達二人で消費できる量ではありません。それで同じコンドに住む人に電話すると、「糖尿病で…」と健康を理由に断られました。それでも久しぶりに隣人から電話があり、嬉しかったのか長電話となってしまいました。その後、妹夫婦に連絡しましたが、甘い物は控えているとのこと。それで甥と姪に上げることにしましたが、甥も姪も学業で忙しい様子。
ただであげるチョコレートですら、このように行き先に苦労するのですから、ましてや売るとなったら大変なことが分かります。お店に入店はできず、注文は電話のみで、取りに行く時間を指定しなくてはなりません。多くの客は自由に店内で商品を見て買うのが普通です。あらかじめ電話注文して、他に用事がないのにのこのこでかける客は少ないと思われます。
それにしてもお店にすれば、大量に精魂込めて作ったイースターのチョコレートを時期が過ぎたからと言って、売らないわけにはいかなかったでしょう。75%引きでは原料費すら賄えなかったではなかったのではないかと思われます。
大きなダチョウの卵型のチョコレートはほとんどあげてしまったのですが、一つだけあって、その卵を包丁で切ると、中からまたいろんなチョコレートがでてきました。これだけ時間かけて作った物、誰かに食べてもらわなければならなかったでしょう。
平常であれば、こんな風に投げ売りなどしなくてもよかったでしょうに…、早くこのコロナウイルスが収束することを祈るばかりです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.76
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。