ハワイで日本語教師を20年余りして(28)
諦めないこと
教師をしてて、一番残念なこと。それは学生が突然日本語習うのをやめていくことですね。いろんな理由があるのでしょうが、学期の終り頃になって突然やめてしまう学生には悪い成績を取るのを恐れて受講を止めたのでしょう。
せっかく頑張って来たものを突然やめたのではいままでやってきたことが無駄になります。技能や知識はあきらめた時点で停滞してしまいます。それともうすこし頑張れば何とかなるのにと思っている時に諦めて止める学生もいました。そんな光景を見るといつもよくも悪く継続することの大切さも思いました。
継続から何かが見えてくるかも
僕は十代の時にギターを始め、年数だけは半世紀になります。なかなか上手にならなかったのですが、上手になろうと、若い時は結婚式で演奏することを買って出たこともあるし、地元のギタークラブで舞台に上ったこともあります。それでもなかなか上達しませんでしたね。
それなら一層のこと止めたらいいのですが、ギターを弾いてると心が休まることがあります。それと下手の横好きで長年やってるので、譜面を見てギターを弾いてると曲の展開が予想ができ、指が勝手に動き出すこともあります。それといいメロディーに出会った時、何となく曲を作った人の気持ちがおぼろげに感じられて時代を超えて何かを共有している喜びに浸る時もあります。それと自分ができない部分をプロはどう演奏するか見たり、聞いたりすると、やっぱりプロのすごさを感じることもあります。そんな時にはずっとやってきたので、鑑賞力が増したとも感じます。
同じことがスポーツでも言えるのではないでしょうか? 素人が苦労して辛うじてできることをプロは何事もないようにするのです。経験のない人が見たら、そんな点を見落とすかもしれません。
料理好きの僕
それから僕は若い頃から自炊をしてきたので、いろんな失敗から学び、味付けや段取りが自分なりにうまくなったと感じています。麺なんかの茹で加減が目視で見当できるようになったし、料理の際、ガスを切った後の余熱を上手に使うことも覚えました。自分にも調理の経験があると、外食の味わい方もまた格別になることもあります。おいしいと感じることはもちろんですが、そんな時に調理をする人の技量に感心し味わえるのも、自分でも調理をしているからです。そんな時、何事もやり続けることの大切さを痛感するのです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.73
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。