ウイスコンシンで独り言 麵と寿司の話
実は僕は日本にいる頃、ナポリタン・スパゲティーが好きで、喫茶店に入るとよく注文していました。日刊サンの読者の方でも麵が好きという方は多いと思われますが、僕は麺には目がなくて、この鉄板で焼かれてジュージュー音を立てるスパゲティーを食べるのが自分の考えるスパゲティーでしたね。この料理はおいしいので、自分でも家で作ってました。
そんな大好きなナポリタンでしたが、日本を去りトマトソースのかかったスパゲティーを食べ出すにつれ、それに慣れてしまったのか、日本に帰ってもこのナポリタンを食べたい気持ちは無くなってしまいました。どうやら自分はスパゲティーの本来の調理法を知らず、日本で仮の姿のスパゲティーを食べていたのでしょうか?
メキシコの中華麺
メキシコで3ヶ月生活した際、時折麵が食べたくなって中華料理の店で麺を食べたのですが、なんとこれがメキシコの麵(フィデオ)かスパゲティーが出てきました。それも冷めていたりして、おいしくありません。少なくとも自分が考える中国の麵ではなかったです。
同じような経験をここウイスコンシンでもしています。時々麵が食べたくなり、持ち帰りの安い中華料理店へ行くのですが、そこで出会う麵は多分ハワイの人なら誰も食べないだろうというほど「まずい」のです。いろんな麵があるのですが、よくあるのは日本のうどんを細くしたような「めん」で、機械で小麦粉をこねたものらしく、大味でおいしくありません。ソースもおかしな味で野菜もほとんどなく、文字通りの「焼き麵」となっています。お腹をふくらませるにはいいのですが、麵を楽しみたい場合にはちょっと……というところです。
身近になった寿司
最近こちらのスーパーはどこでもその場で作って寿司を売っています。スーパーによっては折り込みに「寿司あります!」と強調するところもあるし、あるスーパーでは水曜日を「寿司の日」として割引をしています。僕の住むウイスコンシンの町まで寿司が浸透してきているようです。肝心の味ですが、ご飯に酢が入っていません。それとご飯の炊き具合が悪く、ご飯の芯まで炊けていなことが多いです。僕らは子供の頃、こんなご飯を「かんちご飯」と呼んで、焼き飯とか、おかゆにしたりしていました。ノリの香りもしないですが、一応寿司は寿司しです。とにかくお腹がすいているか、ごくたまになら食べられます。最近ではこうした寿司コーナーでも箸が置いてあったり、ショウガがついてくるようになり、少しずつ進化しているようです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.97
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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