ママのための教え方、学び方 Vol.4
日本の中学受験の算数は特殊と言われています。学校で学ぶ文科省の算数しか経験していなければ、大人でも驚くほど難しく感じるかもしれません。逆にいうと、思考力を問うものが多い。ものごとの本質レベルに踏み込んで、難関校ではさらにその応用が出題されます。
受験算数のもとになるのは、なんと和算です。植木算、ツルカメ算、旅人算…お江戸を思い浮かべる名称も残っていますね。和算は、生活をより便利にするために開発された日本人の生きるための知恵の塊なのです。それにしても令和の今でも使われているというのは驚きですね。いくらITやデジタルが私たちの生活に入り込んでも、ものごとの本質は変わらないというわけです。
各中学校が受験算数を課す理由…たしかに難度が高いので、振り落とすため…とお考えになるかもしれませんが、そんなにいじわるな意図ではありません(笑)。本質を理解する力を、小学生の頭がやわらかいうちに学んでほしい、今だからこそ育てられる思考力を、受験算数を学ぶことでしっかり身につけてきてから、わが校中にあがってほしい、という意図があるのです。
ものごとの本質的なコンセプトを学び論理的な思考力を鍛えておくと、将来、物理、化学、経済、はては音楽などどんな分野に進んでも役立ちます。脳の貯蓄エネルギーとして人生を底上げするのです。
ただし、子どもの受容量を越えて無理につめ込もうとするのは危険です。そうなると合格のために問題パターンを暗記しようとしはじめます。いつでも暗記はつらいですね。理解を越えた学習法をはじめると脳は悲鳴をあげだします。そのときの脳や心のストレスは、一生のトラウマにもなりかねません。
ですから、一人一人のわかったときの喜びをウォッチして、小さくてもその子にあったステップでひとつずつ積み上げることが大切。指導する大人には必ず求められる資質です。
そしてもちろん受験算数を学ぶためには小学校3年生までの学校の基礎の算数を確実に身に着けておくことが大前提です。ここが弱ければ、あせらずにまず徹底的に固めてあげましょう。
算数は国語と同じように、生きる脳の基礎体力。受験する子もしない子も、そして大人の方でも!楽しく脳トレに活用してみてください!
次回は、この問題どう解く?大人は?受験生は?低学年の知識なら?をお届けします。
(日刊サン 2020.4.24)
大野 奈津
オンラインを通じて、世界中の小中学生に勉強を教える個別指導塾YEAH MATH!を運営。モンテッソーリ教育の小学生年次向け指導資格取得、脳科学、心理学によるコミュニケーション法(NLP)でのカウンセリング、コーチングを学び、ご家庭のサポートもしています。