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知らないと損をする!?年金・国籍よろず相談

【年金|国籍よろず相談】SSAからの更なる吉報

 7月、SSA(米国社会保障庁)が国民年金(Japan’s National Pension)はWEPWindfall Elimination Provision 棚ぼた条項)の適用外との基本方針を発表しました。しかし、発表には詳細が記載されておらず、国民年金受給者に加え、厚生年金受給者の1階部分である国民年金がWEP適用外となるか、いつまで遡及的に是正されるのか等の点が不明確でした。

 この度、在米日本大使館のWEP問題担当から以下のご連絡を頂きましたので速報でお伝えいたします。内容は、厚生年金受給者にとっても期待を十分満たすもので、更なる吉報となりました。

厚生年金受給者が受給する1階部分の国民年金もWEP適用外 

 日本の年金制度はすべての加入者に共通する国民年金(Basic Pension 基礎年金、老齢基礎年金とも呼ばれる)の1階部分と厚生年金(Employee’s Pension Insurance 老齢厚生年金とも呼ばれる)の2階部分で構成されています。厚生年金受給者は、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金を受給します。今回この1階部分の国民年金もWEP適用外であることが確認されました。

 この決定によりWEP適用対象が、従来の1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金の合計額から、2階部分の厚生年金のみに変更となります。従いまして、WEP適用となっている米国年金加入期間10年以上(40クレジット以上)の厚生年金受給者の中には、受給額の減額幅が縮小される方が少なからず出てくると予想されます。SSAは、WEP適用開始時まで遡り受給金額を是正すると発表しています。

現受給者の過去減額分の是正方法

 国民年金へのWEP誤適用、または、厚生年金受給者でWEP適用を受け米国年金の減額を受けてきた方にとり大切な情報です。今後、SSAは利用可能な受給者の給付記録等を活用して、今回の見直しにより影響が出る受給者を特定した上で、ケースバイケースで順次レビューを行います。その結果、是正の必要が認められる場合には、個別に受給者に連絡して必要な情報を求める予定です。レビューの結果、是正を要すると判断された方には、WEPが適用された時点に遡って是正されます。この作業は膨大かつ複雑ですので数年にわたる作業となると思われます。

新規受給者について

 米国年金に新規受給者で国民年金を受給している方については、WEPの適用を除外するよう、既にSSA本部から各ローカル事業所に対して指示書が発出されているようです。

WEPに関するSSA内ガイドラインの見直し

 日本の国民年金をWEPの適用除外と判断したことを踏まえて、今後SSA内の所要ガイドラインの改定を行う予定です。

受給される方に確認していただきたいこと

 米国年金受給申請時にSSAから日本の年金受給確認があります。

 米国在住の受給者は日本年金機構から送られてくる「国民年金・厚生年金送金通知書」を証拠として提出します。通知書には基礎年金(Basic Pension)と厚生年金(Employee’s Pension)の2か月分の年金額が表示されています。

  1. WEP適用対象は厚生年金欄の金額だけであり、基礎年金はWEP適用外であること
  2. 記載年金支給額は2か月分であること

SSA窓口担当者に明確に伝えてください。日本在住の受給者は、「国民年金・厚生年金保険金額改定通知書」をご利用ください。

 SSAによるWEP誤適用是正の方針は喜ばしいことですが、私としては、現場レベルでSSA本部の方針に沿って着実に是正がなされていくことが重要と考えます。 

読者のみなさまにお願い

 今後WEPに絡んだ状況をぜひ私にご連絡頂ければ幸いです。この吉報が広く現場に浸透するまでウォッチし、更なる是正が必要と思われる点がないか確認したいと思います。“WEP適用見直しのとおり無事過去の誤適用が返金された”“ソーシャルセキュリティを今年から新たに受給したがWEPの適用無く満額受け取ることができた”“厚生年金受給者だが減額される額が減り、過去の誤適用分が返金された”“送金通知書の記載額全額がWEPの対象となってしまったなど、何でも結構です。

 いずれにしても、私にとって官民が協力して、長年取り組んできたWEP誤適用問題がこのように100%に近い形で解決し、日米で活躍される方々の老後の保障に少しでも寄与できることはこの上ない喜びです。振り返れば、WEPの誤適用で減額された方からの悲痛な叫びを受けて取り組んだ是正が実現できたことは、凄いことだと感じます。

 官民が一体となり日本国民(日本の年金受給者)の財産を守るために外国の規定を修正できた事例は多くはないと思います。また今回の一連の修正が、特別立法でなくSSAからの通知一本で実現されたことにも驚いています。Fairnessを大切な規範とするアメリカなのでしょうか。

 末筆ながら、在米日本大使館の冨田大使はじめ職員の皆様、とりわけ窓口担当者の方には大変ご尽力いただきました。早期解決の嘆願書を大使館・総領事館宛に投稿して下さった日米在住の皆様、更には全米の日本人会、日本商工会、コミュニティ紙関連の皆様、私の活動を支えてくださっているボランティアの皆様に心よりの謝意を申し上げます。

市川俊治

民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。

 

 

海外年金相談センター

http://nenkinichikawa.org 

〒162-0067東京都新宿区富久町15番1-2711号

電話/FAX:03-3226-3240

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