65歳以降に受け取る 老齢年金の手続きについて
日本の年金制度は少なくとも米国年金と比べると複雑です。その複雑な個所の一つが65歳になるときの手続きです。その点を今回ご説明いたします。
1.日本の年金の受給開始年齢は基本65歳です。但し、厚生年金の受給資格のある男性で昭和36年4月1日、女性で昭和41年4月1日以前の生年月日の方は早い方で60歳から受給することが出来ます。それが特別支給の老齢厚生年金と呼ばれるものです。
2.特別支給の老齢厚生年金の受給者の方が65歳になると、今まで受け取っていた年金に代わり、新たに老齢年金と呼ばれる年金に変更されます。更にそれが老齢基礎年金と老齢厚生年金に分かれて受け取ることになります。老齢基礎年金は厚生年金の定額部分と、もしその方が国民年金に加入していればその合計の年金額となります。老齢厚生年金は65歳まで受け取っていた特別支給の老齢厚生年金と基本的に同額の年金額です。
3.65歳からの老齢年金の受給手続き
(1)特別支給の老齢厚生年金の受給者でない方
特別支給の老齢厚生年金の受給者でない方とは、①国民年金の加入者②厚生年金の加入期期間が1年未満の方です。年金事務所で受給申請手続を行い受理されれば老齢基礎年金の受給開始となります。また65歳から繰り下げを希望される場合は、申請手続きの際その旨申し出ることになります。
(2)特別支特別支給の老齢厚生年金の受給者の方
65歳になる前月に日本年金機構から自宅にハガキ形式の「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」が届きます。ハガキに必要事項を記載し、在留証明書と一緒に返送すれば手続きは完了です。国民年金の受給申請手続きもハガキを返送することで完了し、わざわざ年金事務所で新たに国民年金の申請の手続きをする必要はありません。
また、66歳以降に受給を繰り下げて年金額を増やしたい場合は、ハガキに書かれている繰り下げ希望欄にその旨記載することになります。希望欄には、“「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」のいずれかを〇で囲んでください”と記載されています。但し、老齢基礎年金・老齢厚生年金の両方の繰下げを希望する場合は、このハガキを提出する必要はありません。
4.余談ですが…先日フランス在住の方から、自分は両方の年金の繰り下げを希望するのでハガキの返送をすることなく何もせずにいたところ、日本年金機構からハガキの返信がない旨の手紙が届いたがどうすればよいかとの相談がありました。
早速年金事務所に確認したところ、「第2回目のレターは無視して返事を出さないでおけばOKで、自動的に繰り下げ処置がとられます」ということでした。
2回目の手紙が出された理由はと聴きましたら「第1回目のレターの返事がない方に投函を忘れているケースを想定して出した」とのことでした。私から見れば、現在のシステムの不備と思えます。
今回の様に無駄な混乱を引き起こしてしまうのと経費の無駄が発生するので、両方の年金を繰り下げ希望の場合もその旨意思表示をして、返事を出すように変更すべきと日本年金機構に申し入れました。
No. 91
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
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