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【年金|国籍よろず相談】日本の年金の課税国について(前編)
日本の年金の申請中や受給中の方から、「日本の年金の課税は日本か米国か」「日本の年金は日本の銀行口座に振り込まれているので、米国では課税対象外と考えてよいか」「日本年金機構から、租税条約に関する届出書を提出するようにとの連絡が来ているがどうしたらよいか」というご質問をよくいただきます。
米国に居住し日本の年金を受給している方の年金所得は、日米租税条約により居住国である米国で納付と定められています。年金が日本の銀行口座に振り込まれていても、米国に住んでいる限り米国で申告となります。一方、年金支給のたびに所得税が源泉されるためそのままでは二重課税となってしまいます。それを避けるために一定の手続きを踏めば、日本での源泉所得税が免除されます。
1. 源泉所得税が免除される為の手続き方法
「税条約に関する届出書等」の書類を日本年金機構に提出します。具体的には、下記の3種類です。
①税条約に関する届出書
②特典条項に関する付表
③居住者証明書(U.S. Residency Certification、IRS発行Form 6166)
①②のFormは日本年金機構のHPから取得できます。居住者証明書はIRSのForm8802(IRSのHPから入手可能)に必要事項を記入して申請します。
2. 書類の提出時期
これらの①~③の書類は、日本の年金を請求するとき、及びその後3年ごとに日本年金機構へ提出することになります。
これらの書類を提出しない場合は、日本の税法に従って年金の支払いごとに所得税が源泉徴収されます。源泉徴収されても後日①~③の書類を提出すれば、その後の源泉徴収はなくなります。すでに徴収された所得税については、還付の手続きも可能です。
しかしながら実は、米国にお住まいで日本の年金受給者の大半の方は、届出書の提出の必要ない方です。その理由は以下の通りです。
3.「税条約に関する届出書等」の提出が省略できる場合があります。
年金額が源泉所得税を徴収されない金額の方については提出を省略することができます。提出が省略可能な源泉徴収されない年金額は、
(1)65歳未満の方・・年額60万円未満
(2)65歳以上の方・・年額114万円未満(老齢厚生年金・老齢基礎年金合計)。
年金を受給している方については、3年ごとに日本年金機構から書類提出のお知らせが届きますが、年金額がこの基準以下であれば、源泉徴収はされませんので、「税条約に関する届出書等」の提出の必要はありません。この省略によりForm6166の作成費用$85と手続きの手間が節約になります。
後編へつづく。
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
海外年金相談センター
〒162-0067東京都新宿区富久町15番1-2711号
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