みなさま明けましておめでとうございます。12月31日から一夜明けると正月とよばれ、気持ちも新鮮な新たな気持ちになれるのは不思議ですね。皆さんの新年の抱負(New Year’s Resolution)は何でしょうか。
米国社会保障年金を受給し、かつ国民年金の受給者でもある日本人が米国のSSA(米国社会保障庁)が定めるWEP(Windfall Elimination Provision 棚ぼた排除規定)の誤適用により、米国社会保障年金が減額されるという事態が生じております。日本人で米国社会保障年金を受給している方は、現在約9万人おります。このうち、全ての日本人が国民年金を併給しているわけではありませんが、誤適用に関して多くの相談が寄せられており、影響の大きさを痛感しています。
この問題は、誤適用の影響を受け貴重な老後の生活資金を削減されている現在の受給者のみならず、将来世代にも大きく影響し得る重要な問題です。
当該誤適用の是正に向けて、在米日本大使館においても米SSAへの働きかけを行っていただいておりますが、民間サイドとしてもこの問題の早期解決を目指して取組を強化していく必要があるとの認識の基、米国非営利法人NSCA(Nenkin Support Center of America)を2020年8月に立ち上げました。NSCAのNew Year’s Resolutionは無論、“国民年金のWEP誤適用の是正・早期実現”です。
昨年12月に、在米日本大使館の冨田浩司特命全権大使に「誤適用のSSAとの交渉加速と早期解決」を、またSSAのActing Commissioner Dr. Kilolo Kijakaziに「誤適用の早期解消」を求める嘆願書を届けることが出来ました。
本嘆願の趣旨をご斟酌いただき誤適用の早期解決に向け、更なるご尽力を賜ることを期待したいと思います。
一昨年の秋からワシントンの日本大使館でSSA窓口の方と連絡を取りながら問題の解決に取り組みが出来るようになったことは嬉しい限りです。官民力を合わせて本問題の解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。
参考情報ですが、WEPは米国の連邦政府・州政府・ローカルガバメント(市役所職員・消防士、警察、教員等)等公職に従事されていた退職者で、且つ、民間企業でも働いた経験のある方々にも適用されており、以前からWEP撤廃の運動がなされています。昨年10月、36名の下院議員が「連邦政府職員に係るWEP適応」に対して撤廃法案を提出しました。現時点では法案提出の段階まで進んだということで、成立には至っていませんが、撤廃法案が通れば我々にとっても大きな力となります。
NSCAが求めているのはWEP法の撤廃ではなく、WEPの適正な運用を求めているわけですが、今回の廃案法案は根っこにある法律の撤廃です。対象は連邦政府職員に限られたものですが、成立すれば外国の年金とSSを同時に受給している方にもいずれ影響は及ぶものと思われます。
末筆ながら2022年の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
市川俊治
民間企業勤務後、外務省改革の一環として始まった領事シニアボランティア制度の第1期生としてNY更にSF総領事館に合計6年間勤務。その官と民の経験・知識を基に海外在住者の年金・国籍・老後の日本帰国の問題のアドバイスを行っている。
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