初めまして、酒井紀子です。日本、横浜市在住、職業は海外小説翻訳、ハワイ渡航歴30回以上、還暦越えのハワイ大好きおばあさんです。日本在住なので、あくまで旅行者としての目線で読者の皆さんと、旅での経験や感じたこと、などをシェアしていけたらな、と思っています。
私がハワイ一人旅を本格的に始めたのは2008年。宿や飛行機の手配など全て自分でやると決め、すったもんだで準備万端、「えいっ!」とばかりに空港へ向かう。それまで20年近く家にこもりがちな翻訳業を続けていた私にとって、ものすごい決心と勇気が必要なことでした。
でも、早いもので、それからもう15年という歳月が流れたことになります。当初、滞在中は完全に一人だった私でしたが、今は旅の中で知り合った現地の友達がたくさん。会うのが楽しみな友人たちがハワイにいることは、ありがたくも、心強い限りです。
ところで、題名にある“サンダル足”、こんな言葉、聞いたことありませんよね?そう、これは私が勝手に考えた言葉で、ビーチサンダル(ハワイでは“スリッパ”ともいいますが)に馴染んだ足、つまりハワイを歩き回ることに慣れた足、のことです。日本にいると“ビーサン”を履く期間はせいぜい2~3か月。でもハワイは一年中OK。不思議なもので、ハワイへの密着度が高まり、空気感にすっかり溶け込んだ頃、ふいに“おっ、きたきた、サンダル足!”と感じる瞬間が来るのです。
炎天下、ワイアラエ通りを一人でペタペタ歩いている時、遠出をする日の早朝、さわやかな貿易風を受けてアラモアナのバス停へと足早に向かっている時、ローカルの友達とあれこれと近況を話し合いながら、静かなリワード地区のビーチを歩いている時。確実な感覚として、その瞬間が訪れます。まるで、何も履いていないかのように心地よく、歩いているアスファルトの歩道でさえ柔らかい。なんだか体全体が温かいものに守られているような一種独特な感覚です。コロナ禍の影響で、なんと3年ぶりにハワイを訪れた時にも、もちろんその瞬間はやってきました。
今回はヌウアヌ・アヴェニューを歩いてチャイナ・タウンに向かっている時。なんでもNu’uanu/ヌアヌはNu’u/ヌウ(高地)anu/アヌ(涼しい)という意味だとか。ハワイ王族の夏の離宮が点在する古い街には、やはり心地いい涼しい風が吹いていました。
今回、このチャイナ・タウンでちょっと不思議なことがあったんですよ。それについては、また次回に顛末を詳しくお伝えできればと思っています。もしよかったら、またこのコラムをのぞいてみてください。
サンダル足の旅日記 No.1
酒井紀子
翻訳家、訳書として「シックス・センス」「フレンズ ― 6人は永遠に友達!」「アナと雪の女王」(竹書房)など多数。