先日、YouTubeで「80歳の壁」という動画を題にひかれ、観てみました。これは最近日本で発行された本の概略で、いくつか面白い指摘がされていました。それは「健康のために節制とか我慢をするな」と、世間の常識とは逆のことを言ってます。それから、「薬は飲むな、医者には行くな」とも言っています。
男9年、女12年
この動画で男性の健康年齢は約72歳、女性は約75歳で、平均寿命(男81.64、女87.74)までのこの男9年、女12年は寝たきりになる人がいたり、人の介護が徐々に必要となり、生活の質や満足度も低下していく時期と指摘しています。読者の方々の中には70歳前半ならまだまだ元気で、寝たきりとか介護が必要とされるのはずっと後って思われる方も多いでしょう。その通りと思うのですが、不健康な人はもうお亡くなりになっていたり、家に引きこもりがちで外へでないので目立たないという事実もあります。ただ、この健康年齢とその後のことは、その人の年齢に関係なく考える意味があると思います。それにしても亡くなる前のこの男9年、女12年は何とか短くしたいものです。
健康のために我慢するな
この「80歳の壁」の著者和田秀樹氏は精神科医で長く老人問題に携わってきたようで、80歳くらいになるといろいろな病気が体に潜んでいるので、無理しても効果がなく、我慢することで却って精神的にストレスを生み、免疫力を弱めると主張しています。もちろん、若い時には節制に努めたり、健康に注意すべきです。でも、ある年齢に達したら、自然体で好きなことをして、自分を喜ばせるようにすることが大切と著者は主張しています。この主張には同意される方もいたり、気持ちが少し和らぐ方もいるのでは? と思います。
医者に頼るな
和田氏は医者に頼りすぎる危険性も指摘しています。医者は一般に臓器の専門家で患者全体より臓器とか検査からの数値を見ているので、ある臓器にいい薬がほかの臓器にはよくない場合があるし、体全体を見て副作用なども考慮しなくてはならないのに、一つの臓器に集中する危険性を指摘しています。例として、コレステロールを下げるのはいいのですが、そのために免疫力が低下してガンになる可能性が高まるなどです。
80歳での心構え
80歳くらいになると体力が衰えたり、以前できたことができなくなったりするので、気持ちが落ち込みますが、そうした「衰え」を見つめるより、今現在できることに感謝して生きて行こうと勧めています。この著者は長いこといろんな老人と接して、ご本人も60歳になられて、「老年」ということを考えられたのだろうと思います。いろいろ考えさせられる面白い動画でした。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.140
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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