ある投資の本を読んでいたら、「複利の力」について書かれていました。元本に利子がつき、その利子が加えられたものに年々利子がつくことを繰り返すこと(複利の力)で、例えば6%の利子なら12年で2倍になります。そうした長い期間の投資ではこの複利で、自分の元金が時間とともにやがて何倍にもなることになります。投資をする際にはこの複利の意味をよく理解することが大切のようです。
その本ではアメリカの100ドル紙幣に描かれているベンジャミン・フランクリンの遺産の例が書かれていました。フランクリンは1790年4月に亡くなりましたが、彼は遺言で1000ドルずつボストンとペンシルベニアの両市に残しました。そして遺言では100年後にその一部を使ってもいいが、200年待つように言い残しました。100年後には一部の遺産を使ったようですが、さて200年後にはその残高がどのくらいの金額になっていたでしょうか?彼の残した2,000ドルは3,250倍の650万ドルにもなっていました。このことが複利で長く貯金又は投資することの大切なことを説いています。
投資は時間が味方
我々はそんな200年という長い年月は待てませんが、20年、30年と過ぎるうちにわずかな金額でもコツコツためると大きな金額になることを知っています。よく投資の本で投資は早く始めることを説いています。例えば、Aさんは25歳で毎月200ドルを65歳まで投資続けたとします。そうすると65歳には52万ドルになっています。ところがBさんは10年遅れて35歳から毎月200ドルを65歳まで投資を始めたとすると、65歳での達成額は24万5千ドルです。そして20年遅れて投資を始めたCさんは65歳になった時には10万ドルにしかなりません。ですから、投資は少額でもなるべく早くからするのがいいのですね(長期株価上昇平均値から年7%成長として試算)。
フランクリンの遺産
フランクリンは2000ドルを二つの市に遺したのですが、彼の亡くなったその当時にはかなりの金額だったと思われます。ある新聞記事では今の価値で100万ドルほどであったろうと書かれていました。それから、200年後にボストン市は450万ドル、フィラデルフィアは200万ドルと差がありましたが、ボストンはうまく投資したようです。
私はこの話を聞いて、この200年という長い年月を待つことを思いました。フランクリンは200年後にはこんな巨額の資金になっていることを想像していたのでしょうか?もしあなたがあなたの資産を200年とはいわなくても50年待てと言えるでしょうか?どうしてフランクリンは遺産をすぐ使わせなかったのでしょうか?ひょっとして彼は投資することで資産が増えることを見抜いていたのでしょうか?
フランクリンは「時は金なり」と時間の大切さを言った人です。また「1ペニーの節約は1ペニーのもうけ」とも言って節約を推奨しました。私達も遺産を残す時は、お金とともに子孫に知恵をも残してあげるべきかもしれません。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.164
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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