私は人生の半分を日本を離れて生活しています。そのせいかハワイとウイスコンシンでは、もっぱら簡単にシャワーを浴びることに慣れてしまうとお風呂に入っている時間が無駄のように感じるようになりました。また、シャワー生活に慣れると、いつからかあの熱い湯に入れなくなってしまったのです。ところが最近日本へ帰った際に、宿泊先のホテルの大浴場で、少しばかりサウナに入ったり、湯船に浸かったりするようになりました。そうすると昔味わったあの入浴後のホカホカと温まる感覚や、爽快感を思い出しました。なるべく熱くない風呂を選んでちょっと長湯したり、少しだけサウナで汗をかいたり、またジャクジー風呂の気泡は旅の疲れをとってくれる気がします。
ゆっくり湯舟につかる
お風呂に時間をかけるなど時間の無駄、シャワーで十分と思っていたものの、湯船につかっていると、体中が温まり、血行が良くなるのを感じます。それと肌や筋肉も刺激をうけ、何か生き返るような気がします。さらに体が温まり、血行が良くなる結果、精神面の効果もあるし、長湯で汗をかいた後に水分を補給すると、水ってこんなにおいしいのかって改めて気づいたりします。こんなことは時間をかけて入浴しないとわからない経験じゃないでしょうか。
眠気も取れる
ハワイから日本へ行くと時差のせいで夕方に眠くなってしまうことがありますが、そんな時にあまり熱くない湯にゆっくり入ると眠気が取れ、時差ボケを解消してくれるのを、去年ハワイから日本へ行ったことで実感しました。また、ジャクジーでなくとも、ただ湯船につかるだけで全身が温められ、水圧が心地よい刺激になっていると思います。そして入浴による適度の疲労で、夜に熟睡できると思います。こんなことは日本人なら誰でも感じていることかもしれませんね。
最後に
このコラムが掲載される頃、私は日本にいます。そしてどこかの簡易温泉でのんびりいろんな湯船につかっていることでしょう。アメリカではいつもシャワーでもこの時とばかり日本では入浴を楽しんでいます。また、食事もうどんなど麺類、筑前煮などの煮物、焼き魚、おでん、ひじき、豆腐、酢の物など普段食べられないものを食べます。
こうした日本への思いや、ハワイでの経験、ウイスコンシンの事など、まだここに書きたいことは山ほどありますが、日刊サンの方から新聞の休刊という連絡を受けました。思えば6年前に始めたこのコラムは自分自身のいろいろ思い出であり、時にはなかなか筆が運ばないこともありました。少し残念なのですが、ここで皆さんにはお別れを言いたいです。ハワイはこれからも日々変化して行くのでしょうが、それでも皆さんにとってハワイがいつまでも住みよい所であることを祈りつつお別れの言葉とします。アロハ!
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.177
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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日刊サンの中で一番楽しみに読ませていただいていたコラムでした。 私は大井様とはほぼ同年代ということもあり、共感する内容がとても多かったです。 大井様の人に対するあたたかなまなざしや接し方がとてもすてきだなあと思って拝読していました。 正直にご自身の思ったことを書かれているのもすごくよかったです。 ウィスコンシンは全く未知の土地でしたが、大井様のおかげで、グンと親しみのある場所になりました。 長い間、本当にありがとうございました。 日刊サンがなくなってしまうということで、これからとてもさみしくなります。 フェイスブックなどを探せば、大井様の文章をこれからも読めるのでしょうか?探してみますね。 日本の温泉と桜、楽しんできてください!