ご安心ください。今の日本の話ではありません。ちくま新書「昭和33年」(布施克彦著)によると昭和30年代にタマゴはまだぜいたく品だったようで、いろんな物価と比較すると今の貨幣価値で1パック2000円に相当するであろうと書かれています。昭和33年というと私はまだ小学校に入学前でしたが、その頃、タマゴは高いものであまり食べさせてもらえなかった記憶があります。それでか、私の住む地域の農家や普通の民家の庭先のあちこちにニワトリ小屋があって、ニワトリの鳴き声がしたものです。
タマゴを買ったことのない人
私の知っているウイスコンシンの人の中にはニワトリを自宅の広い庭で飼っていて、タマゴを買ったことがない人がいます。町からちょっと離れた所に住んでいて、自給自足のような生活をしています。そんな場所ならニワトリの放し飼いもできるし、鳴き声や糞のにおいで近所迷惑をかけることもありませんね。タマゴが安かった頃にはそれほど羨まれることもなかったでしょうが、高騰している昨今ではこうした人から余ったタマゴを分けてもらったりすると嬉しいかもしれません。
ニワトリの飼育
先日アメリカの公共放送の報道で最近のタマゴ価格の急騰で、ニワトリを飼う人が増えているとのことです。ニワトリは家畜としての歴史も長いしペットとして家の中で飼うことも可能なようです。ニワトリはオスは鳴くので、オスよりメスが好まれるかもしれません。それとメスだと新鮮なタマゴがいただけますね。それからエサとして自分達の食べ残しを食べてくれるので飼育しやすいペットかもしれません。ただニワトリの中には生まれ持った狂暴性・攻撃的な習性もあるので飼育の際注意し、愛情をもって育てることが大切なようです。
高いタマゴのいい点
私は長いことタマゴは「安すぎる」って思ってきました。効率を重んじてニワトリが土の上で動き回ることもなく、狭いオリで一生を過ごさせることに反対です。ですから、タマゴは「放し飼い」で育てられたニワトリのものを買うようにしています。その方がトリにとって自然だし、健康でいられるでしょう。それと放し飼いの方が黄身の色がよく、弾力があると思います。長いことハワイの養鶏農家は本土のタマゴとの価格競争でかないませんでしたが、今度のタマゴの高騰は地元の養鶏農家にはいいニュースのはずです。消費者にとっても地元の新鮮なタマゴが食べられれば、こんないいことはありません。
仮にタマゴの価格がまた元に戻るようなことがあっても、ニワトリがどう育てられ、どんなエサを与えられているかに気を配っていきたいものです。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.147
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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