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デジタル版・新聞

コラム 来夏の映画観ようよ

ハロウィン KILLS

 1年の終わりであるとともに、死者の霊や魔女がやってくる10月31日、ハロウィンは古代ケルト人起源の祭りであり宗教的な意味合いを持っていたが、現代ではすっかりお楽しみイベントだ。

 

 6歳で実姉を殺害して精神病棟に収容されたマイケル・マイヤーズ。15年後に脱走し、生まれ故郷ハドンフィールドで今度は高校生になった妹ローリーを標的とし、多数の犠牲者を出した。再び収容されたものの40年を経て2度目の脱走を果たし、年老いたローリーとその娘カレン、孫のアリソンをも執拗に狙う。死闘の末、マイケルを閉じ込め火を放ち悪夢に終止符を打ったはずだったが…。

 

 前作は前菜に過ぎなかったのか!彼が生きている限り安心は出来ない、と長年要塞のような家に住み、銃器で完全武装していたローリー。その様子がどうしてもアクション要素が強く違和感を覚えてしまっていたが、今作では音もなく忍び寄り、躊躇なく殺害を繰り返すマイケルがよりクローズアップされており、またその凶行が加速し、存分にスリルを味わえた。悪霊でもモンスターでもない生身の人間にこれだけの脅威を感じるとは―同時に、善良な一般市民であるはずの町の人々も一歩間違えれば簡単に誰かに危害を与える存在となってしまう場面もあり、結局怖いのは人間であることを知らしめてくれた。1978年の第1作目より格段に邪悪さを増しているように見えるマイケル。ホラー界のレジェンドとしてこの先も決してマスクを脱がず、表情が読み取れない不気味な殺人鬼のままでいて欲しいが、次回作では一体どんな展開になるのやら。今作は最後の最後まで気を緩められない緊迫感が素晴らしかった分、今から期待と不安でいっぱいである。

 

 ちなみに、同時期にメキシコで行われる伝統行事“死者の日”は、カトリックの聖人の日に合わせむしろ積極的に故人を迎え入れる趣旨で、ハロウィンとは全く別物だそう。由来は違うが共に死者にまつわる日。何ともミステリアスで、ホラーにはぴったりの1日ではなかろうか。

●加西 来夏 (かさい らいか)

映画は年間100本以上視聴、訪問国は39ヵ国~の旅する映画ラヴァー/日本はようやくコロナの勢いが収まってきましたが、今年もハロウィンイベントは自粛の方向。家でホラー鑑賞とゲームを楽しむつもりです。

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