仕事や人間関係に疲れた。いっそ、全てリセットして遠い土地でひとりきりになりたい…誰しも一度は思ったことがあるはず。自分自身が度々そうなるので、いつも秘境を探している。
インターネットで「旅行、穴場」と検索すると“最後の楽園”というワードがよく目に留まる。フィリピンのエルニドやタヒチのボラボラ島など、数ある候補地の中で見つけたのがベトナム・フーコック島。同国にはダナンやニャチャンなど有名リゾートもあるが、こちらはまだ認知度も低く、団体客も少ないためビーチを独り占め出来てしまうのだ。
宿泊した“ソル・バイ・メリア・ホテル”は、空港からタクシーでわずか10分ほどで着き、目の前は白砂と透き通った海の“トルオンビーチ”が広がる。また、ターコイズブルーが基調の内装で室内にいても海を感じられ、朝食ではブラッディ・メアリ(ウォッカ&トマトのカクテル)が飲み放題と嬉しい限り。
東南アジアならではの海老やイカ、牡蠣などのシーフードも充実して格安だった。ベトナム料理の定番、フォーよりも細麺のブンというライスヌードルや鶏肉入りのチャオガーというお粥も良かったが、甘辛いソースにつけて食べる揚げ春巻きが抜群に美味しい。
観光客が少ない分、強引な客引きもスリもおらず、ナイトマーケットでは落ち着いて食事が出来た。ガンガンに盛り上がっている派手なクラブは見つけられなかったので、夜遊びがしたい人には向いていないかも知れない。
ようは、心からひとりの時間を満喫したい人にうってつけの島なのだ。自分も、恒例のアイランド・ホッピングやシュノーケリングは一切せず、朝からひたすら海を眺めて気が向けばプールで泳ぎ、サンセットと共に部屋に引き上げるというバケーションを過ごした。
疲れた時には無理をしない、休暇を取って心身共にリフレッシュする。当たり前のことが難しい風潮の日本で、いかにストレスを溜めずに生きていくのが大変か。今まで訪れた海を想いながら、コロナの完全収束を願っている。
●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問国は39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/自分は人一倍ストレス耐性がないのかも、とたまに落ち込みます。PCゲーム中ですら、チャットで煽られるとへこみますし・・・。
(日刊サン 2021.11.19)