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デジタル版・新聞

コラム 旅は呼んでいる 加西来夏

ドイツ ~ベルリン~②

 ベルリンを訪れたのは歴史的背景が主な理由だったため、他の観光名所についてはおまけ程度に軽く考えていたのだが、それは大間違い。新旧の建築物の洗練された美しさ、優雅さにすっかり魅了された。

 第二次世界大戦における空襲により多くの建造物が破壊を免れられず、今は修復されているが1791年に建てられたブランデンブルク門もその一つだ。古代ギリシア風の設計で、上部には馬車に乗った勝利の女神ヴィクトリアの彫刻が飾られている。ナポレオンの凱旋からヒトラーの台頭、そして東西分裂と統一を見続けてきたこの門は、デザインが美しいのはもちろん、ある種、畏敬の念を抱くほどの存在感だった。もう一つのベルリンの象徴とも言える戦勝記念塔でも、同じような思いを抱いた。 

ブランデンブルク門

 一方、カイザー・ヴィルヘルム記念教会では破壊された鐘楼部分が敢えてそのまま保存されており、戦争を警告するための記念碑となっている。生々しい傷跡が残された旧教会の内部は、今日でも色鮮やかなヴィルヘルム2世と皇后や宗教的なモザイク画が飾られており、美術館のように見応えがあった。対称的に、隣接して建てられた新教会の方はまさに現代建築の極みといった内装。壁一面が青のガラスでサファイアのように煌めき、その中心には金色のキリスト像が祀られており神秘的な空間だった。 

 博物館島にあるベルリン大聖堂は青銅色の巨大なドームを含めた外観だけでも十分なインパクトがあるが、内部の柱やステンドグラス、パイプオルガンなどの装飾は今まで見た聖堂の中でも一番心を動かされたほど荘厳だった。ミサに参加した際の讃美歌の音響も素晴らしく、クリスチャンでなくとも感動すること間違いなし。 

カイザー・ヴィルヘルム記念教会

 食の面では当初ソーセージのイメージしか湧かなかったが、苺や香草のシロップが入ったルビー色、緑色の色付きビール“ベルリナーヴァイセ”、メジャーな白葡萄の品種リースリングの美味しいワインとそれに合う極上チーズ、ドイツ版トンカツ“シュニッツェル”など充実しており、食べ歩きも満喫出来た。

ベルリナーヴァイセ

●加西 来夏 (かさい らいか)

訪問39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/ペルガモン博物館にある古代バビロニア遺跡“イシュタル門”もかなりの迫力でオススメ。ミサに参加した際、賛美歌がきちんと歌えなくてモニョモニョ誤魔化したのは内緒です。


(日刊サン 2020.10.02)

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