サントメ・プリンシペ民主共和国、アンティグアバーブーダ、シーランド公国…正直、何処にあるかわからない。現在国際連合に加盟しているのは193ヵ国、その他未承認も含め認知度の低い国は多々ある。だからこそ行ってみたいと思うが、アドリア海クルーズではそこそこ珍しい地へ寄港した。
モンテネグロといえば、“007/カジノ・ロワイヤル”でジェームズ・ボンドが敵とポーカー対決をした舞台のイメージしかなかった。が、日本とは案外複雑な繋がりがあり、1904年の日露戦争時ロシアと同盟を結んでいたため日本に宣戦布告したものの、実際は両国間で何も起きずに終戦。そのまま今日に至り、休戦状態かどうかも曖昧なままだそう。生憎の土砂降りで上陸時間も短かったため、駆け足で城壁に登り、聖トリプン広場を散策、賑やか過ぎない落ち着いた古都の風情を満喫できた。

クロアチアは“101匹わんちゃん”の主役、ダルメシアンの原産地!また、オレンジ色の屋根が並ぶ世界遺産ドゥブロヴニク旧市街が有名だ。下船したのは第2の都市スプリット。街は4世紀頃のローマ皇帝ディオクレティアヌスが建てた宮殿が基盤になっており、シンボルともいえる聖ドムニウス大聖堂の鐘楼は高さ約60メートル、階段で登ると街全体を見下ろせる絶景スポットだ。
活気溢れる魚市場や宮殿内のゴージャスな祭壇を見学後、“Konoba Matejuška”で昼食。店員のお薦めで朝獲れタラの郷土料理を注文、オイリーすぎず香辛料もきつくなく、じゃがいも入りで肉じゃが風の優しい味付けは日本人の味覚に合い、国産白ワインとの相性もバッチリ。伝統的なチェック柄のテーブルクロスや、壁に飾ってあるオール、浮き輪のインテリアが印象的で、素朴な雰囲気だった。しかし数年ぶりに店のホームページを見ると、食器や内装がガラッと変わりハイセンスに進化してすっかり高級店になっていた。
クルーズならではの海沿いの国や街は、あまり知らない土地でも意外な発見の連続で新鮮だった。






●加西 来夏 (かさい らいか)
訪問国は39ヵ国、好きな言葉は「世界は驚きと奇跡に満ちている」/アドリア海クルーズもお世話になったのはMSC社で、ムジカ号。船内の独特の香りが好きでその香水が売っており、もちろん即買い。たまに部屋に撒いて思い出しています。
(日刊サン 2022.7.29)