街路の銀杏の木々も黄色く色づき始め、秋が深まってきました。日本からハワイへの渡航の際の2週間の隔離も緩和され、国内でも「ハワイ旅行が再開!」と大きなニュースとなっています。私も本来なら秋の行楽シーズン真っただ中の京都へ、日帰り出張する機会がありました。
今年の京都は…?
クライアントの大手不動産グループが京都・烏丸御池にオープンした町家風ホテルの内覧会のためでしたが、実は10数年ぶりの京都行き! 中2の娘が国語でちょうど「徒然草」を習っており、「仁和寺にある法師…」として随筆にも登場する有名な「仁和寺」に仕事の前に足を運んでみました。
最近は東海道新幹線も利便化しており、朝7時過ぎの品川発に乗り込むと、2時間20分余りで京都駅に到着。そこからJRローカルの嵯峨線、レトロな路面電車の京福電鉄を乗り継ぐと10時ちょうどに仁和寺の大門前に到着しました。
突然のコロナ終息祈祷
コロナ禍の前はインバウンドの旅行客で大混雑していると評判の京都でしたが、外国人の姿はほぼ皆無。朝早い平日の仁和寺は人影もまばらで、お庭や広大な境内を静かに見学できました。11時頃に本堂をお参りしていると、何やら大勢の僧侶の祈祷が中で突然始まりました。近くの立て札を見ると『新型コロナ終息祈願 毎日11時、13時より』の案内板。
疫病退散の祈願とは、平安時代にタイムスリップした感覚でしたが、荘厳な読経の声に自然と頭を垂れたくなります。
自然の脅威にはいまだに無力な人類。仁和寺の創建は平安の世の888年。当時から脈々と受け継がれてきただろう光景に、ただただ謙虚な心持ちなりました。
Go toキャンペーンの現状
政府による観光支援策「Go To Travel」キャンペーンが7月から始まりましたが、今JR東海では独自に「ずらし旅キャンペーン」を展開しています。俳優の本木雅弘さんが登場するCMでは、早朝6時の伊勢神宮を訪れたり、自転車で旅先の路地を走ったり‥。人の少ない時間や場所を選ぶ新しい旅の形を提案しています。私の仁和寺訪問もそのアイデアからヒントを得ましたが、その他にもお昼前に早めの「おやつ時間」として甘味を食べ、逆に午後3時頃をランチとするなど様々な〝ずらし旅〟の極意が紹介され、なるほど!と思います。
観光庁は総予算1兆1,248億円という莫大な費用をかけ「Go To Travel」事業を実施。この事業を適用して旅行をすると、ホテル料金の35%がすぐに還元され、さらに旅行代金の15%が地域共通クーポン(商品券)としてもらえます。ただコロナの感染者が多かった都民(私も)と、東京への旅行は9月まで除外されており、観光庁の発表では開始から最初の2カ月で、割引額はまだ予算の6.5%程度のよう。国から旅行を推奨されても、心情的に遠出はしにくいのが正直な国民感情のようです。
社会についていけない…
私の都民の友人はそれでも何とかGo Toキャンペーンを使ってみようと都内の高級ホテルに宿泊。地域共通クーポン6000円ももらったそうですが、有効期限が旅の期間の2日しかないことに気づかずに無効に…。さらにレストランサイトを使用して予約すると、ポイントが還元される「Go To Eat」キャンペーンも始まり私も混乱気味。
コロナの自粛生活でスローになった生活では、なかなか時代についていけません。
東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.28
(日刊サン 2020.12.11)
竹下聖(たけしたひじり)
東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。
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