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コラム マスコミ系働き女子のひとりごと

聖火が消えて思うこと

近所の商店街にひっそりたなびいた五輪の旗…。都民は静かに五輪を盛り上げました

日本国民が待って待って、1年の延期後もひたすら待った「東京五輪2020」がついに幕を閉じました。17日間灯った聖火が消えた今、思うこと―。連日最多のコロナ感染者数を更新しながら開催した東京五輪を、一市民の目線で振り返ってみたいと思います。

プラチナチケットが一転

最後の希望が消えたのは、開幕わずか2週間前のことでした。東京に4度目の緊急事態宣言が出たタイミングで、1都3県の試合を中心に、全体の95%の五輪競技が観客を入れず、無観客で実施されることが決まりました。363万枚も売れていたチケットが払い戻しとなり、私が持っていた柔道決勝の2枚も幻に。大会開催を優先させた決断でしたが、スポーツの祭典が観客なしの無人の空間で実施される異様さに、無念さを覚えました。

2年前の7月の発売時にはネットで大争奪戦が繰り広げられ、私も2万円分の柔道のチケットをその時点で購入していました。ただ、当時は「当選のことは内緒」と心に誓うほどだったプラチナチケットの価値は、7月の開幕直前には、私の中で暴落。正直、無観客が決まっても、「どっちでもいいや」との気持ちが本音でした。

無観客が決定する直前、東京での五輪観戦を断念した名古屋に住む弟から、使わなくなったハンドボールのチケットを託されました。身近な人に声をかけましたが、大多数が「いらない…」との反応。都民の五輪熱は冷めたままでした。

開幕直前も空気は冷えたまま

五輪ボランティアも8万人のうち、約1万人がコロナ感染などを危惧して辞退。千葉や宮城の会場ではボランティアの4割が辞退し、一般市民の熱も上がりませんでした。 開幕直前には、開会式の演出担当のロック歌手の過去の醜聞などが発覚。五輪スポンサーであり、日本を代表する企業のトヨタが、期間中の五輪関係のCMを自粛して開会式も欠席するなど、多くの人が悩み、重たい気持ちで7月23日の開幕を迎えました。

オフィスの前で数年間「開幕」を待ったカウントダウンボードも、ついに「0日」に!

連日のメダルラッシュに沸くも

五輪が始まれば、日本は連日のメダルラッシュで史上最多の金メダル27個を獲得。メダル総数も57個を数えました。

一方で東京都民は、オンラインワークや外出自粛が徹底され、五輪の熱気を肌で感じるどころか、家の外に出るのもままならない状態。2年少し前のラグビーW杯時に、世界中から多くのファンを迎え入れ、スタンドで一緒に応援した熱気とは180度違う五輪開催でした。生観戦もできなく、海外からのファンも来日せず、情報はテレビとネットから。日本開催のため時差がなく、「ステイホーム」で時間がたっぷりある恩恵で、今までのどの五輪よりたっぷり競技を味わいましたが、最後まで同じ東京で実施されていることが実感できないまま、生煮え気分で終わった「東京2020」でした。

 

希望は次回パリ五輪に

尻つぼみに終わった閉会式の最中には、次回2024年の五輪の地・パリから生中継され、フランス空軍の飛行機がエッフエル塔を背景に鮮やかに飛びました。そのなんと華やかなこと。パリ五輪がただうらやましく、どうにもならない羨望を覚えた…2021年の夏でした。

東京・大手町発 マスコミ系働き女子のひとりごと Vol.37

(日刊サン 2021.8.13)

竹下聖(たけしたひじり)

東京生まれ。大学卒業後、東京の某新聞社でスポーツ記者、広告営業として15年間勤務後、2012年〜2014年末まで約3年間ハワイに滞在。帰国後は2016年より、大手町のマスコミ系企業に勤務。趣味はヨガと銭湯巡り。夫と中学生の娘、トイプードルと都内在住。

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