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【ちょっと役立つ 日本の新製品】コロナ後遺症の嗅覚異常を検知する
2022年もコロナ、コロナで早くも終わろうとしていますが、新型コロナに罹ったことや医療などの対応処置、ワクチン接種などの経験が多く報告されました。また、後遺症で苦しんだ経験も多く語られました。
ここに至って、ソニーはコロナとその後遺症の検査に役立つ装置を開発したと公表しました。それは、色々なニオイを発生させ、人の嗅覚を調べるというものです。
40種類のにおいを発生させて、被験者がかぎ分けられるかどうかを調べるものです。手順は、器械の匂い発生口に鼻をつけてもらいニオイを発し、「今感じたニオイを選んでください」と聞くのです。例えば、「カラメルのニオイがします」などと、会話を続けていくのです。
これまでも嗅覚の測定設備はありましたが、脱臭が瞬時にできる専用の試験室が必要だったり、その処理に30分以上も掛かっていました。今回の装置は、空気の流れを制御する技術を活用し、複数のニオイが混ざらないように工夫されています。一つの検査測定が10分程度で出来るようになったのです。これには、ニオイ成分を閉じ込めた40個のアレイを持つ高気密カートリッジ技術が大きな働きをします。
一部の医科大学で、コロナの嗅覚障害の診療に、この装置を使う方針を示しています。視力測定のような手軽な方法と器械に大きな期待をしているそうです。
ソニーが開発したのは「ニオイ提示装置NOS-DX1000」と名付けられ、来年春に発売開始です。市場での価格は230万円前後とされています。嗅覚はコロナ以外にも認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患などとも関連があり、これらの早期診断に活用することが目指されています。また仮想空間での利用も考えられ、エンターテイメント事業への展開も予定されているようです。
高い機密性があり、空気流で速やかにニオイ成分を排除する脱臭機能も内蔵され、ニオイが混じることはないそうです。端末からの操作で、簡単にしかも即座にニオイを発するようになっています。
ニオイの検出技術は医療を始め、色々な分野で渇望されています。まず、(1)呼気や体臭による体調の管理などのヘルスケア分野、(2)食品分野では、ニオイによる果実の熟成度の判別や家畜の体調管理、(3)環境分野では、ホルムアルデヒドなどの検出、(4)色々な設備の安全セキュリティ・モニタリングとして、有害物質の検出などです。この分野では、NECでの幕型表面応力センサーMSSなども注目されています。これについては別の機会に紹介します。
No.330
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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