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【ちょっと役立つ 日本の新製品】不思議な“フリクション”ボールペン
こすると摩擦熱で消せるという面白いボールペン、その製品のしくみを紹介します。消しゴムで消える鉛筆と違って、ボールペンは「消せない」筆記具として長年通用してきましたが、パイロット社から、「フリクション」という製品が発売され、世界的なヒット商品となって久しいのですが、このインクはなぜ消えるのでしょうか? その特殊な仕組みと作用について紹介します。
フリクションインクの色素は、特殊なマイクロカプセル内に入っている、3つの成分(色のもと、発色成分、消す成分)によって決められます。まず、紙に何かを書いて目に見える状態というのは、色のカプセル内の「色のもと」と「発色成分」が働いており、「消す成分」は眠っています。この状態で、専用ラバーでゴシゴシ擦り、紙の表面が60℃以上になると、「消す成分」が活性化して来ます。そして65℃になると「消す成分」が「発色成分」にくっ付き、「色」が完全に消えて、見えなくなります。これがフリクションインクの特徴なのです。
しかし、このインクの特典は、ある条件になると消えた色が元に戻ることなのです。この条件というのが、温度が-10℃以下になることなのです。つまりこの温度で「発色成分」とくっ付いていた「消す成分」が不活性になって、離れ始めるのです。そして、温度が-20℃以下になると完全に「消す成分」が眠ってしまい、「色のもと」と「発色成分」が元通りにつながり、元の色が完全に見えるようになるのです。それを常温に戻してにもインクの色はそのまま見える状態が続きます。フリクションインクはこのような特殊な性質をもっているのです。
このような温度環境で使用することはほとんどないですが、とても面白い現象です。ちなみに、再びこすって60℃以上になると再び消え、その上からまた書くことができるのです。つまりは、「書いて、消して、また書ける」だけでなく、「一旦消したものを再現することもできる」というわけなのです。化学成分と温度の作用がこんなことを可能にしているのですね。
現在パイロット社では、フリクションシリーズとして、ボールペン以外にもサインペンやスタンプなどがあります。勉強やビジネス、お絵かきなどさまざまなシーンで消せるフリクションシリーズを楽しむことが出来るのです。ただ、証書類・宛名など、消えてはいけないものには使用しないように注意する必要があります。また、高温下に置き60℃以上になると、インクが無色になります。
消せるボールペンの新しい製品は、ラメ入りのインクの「ケセラメ」で、キラキラ輝くラメ入りになっています。ちなみに、価格は一本230円で、3色セット(690円)や6色セット(1380円)も11月15日から発売されるようです。ボールは細持タイプで0.7ミリ、色は、プリズム系の6色があります。
No.327
となりのおじさん
在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで
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